働き方改革が推進され始めて、世の中の風潮は結構変わってきました。リモートワークやノマドワークが盛んになり、コワーキングスペースも日本中の至る所に存在するようになり、今では当たり前の存在になりつつあります。
しかし、実際、多くの人たちが新しい働き方に懐疑的で、踏み出すことを躊躇しているのも現実。そこには、やはり「常識の壁」が存在しているからです。
常識は多数決の結果でしかない
常識やモラル。
この言葉の持つ威力は思いの外大きく、人の行動を大きく制御するものですよね。しかし、常識やモラルというものは、何も法律で決まっているものではありません。それは、多数決の結果でしかないのです。
常識はころころ変わる
今から20年前、一体誰がここまで世間が嫌煙ムードに包まれると予想したでしょうか。
当時はまだタバコを吸う行為というのは、大人、特に大人の男にとっては通過儀礼に様に思われていて、むしろ吸うのが普通だったのをご存知ですか。吸っていないと、子ども扱いされていたのです。
他にも、今では道にゴミが落ちていないことで世界から注目されている日本ですが、同じくほんの20年前までは、気を付けていないとよくガムを踏んでしまったものです。他にも、そのころは、髪を染めている男性やピアスをしている男性、それどころか、赤やオレンジなどの明るい服を着ている男性すら稀でした。そう、常識やモラルは、結構ころころ変わってしまうのです。
まだ決めていない人の踏み出した一歩で変わる
ここに4人の人間がいるとします。4人は見たことない果物を見ています。1人は見たことのないものは絶対に食べないA君、1人は何でも構わず食べるタイプのB君、1人は自分以外の過半数が行動すれば従うタイプのC君、そしてもう1人は「どうするか決めていない」あなたです。
さて、この時、あなたが『食べない』選択肢を取ればどうなるでしょう。こうなると、A君は食べない、C君も食べない、そしてあなたも食べないということになりますから、当然、食べるのはB君だけで、B君は常識はずれな人間になります。では、この時、あなたが『食べる』側に回るとどうなるでしょう。
そうすると、A君は当然食べませんしB君は当然食べます。そして、あなたが食べることで『食べる』という行動をとる人間が過半数となり、なんとC君が食べる派に転じてしまいます。そう、つまり、結果的に非常識はA君になるのです。
じつはこれこそが、社会における行動原理の基本といってもいいのです。世の中には、「積極的に動く人」「動かない人」「半分が動けば動く人」そして「まだ決めていない人」の4種類の人がいて、カギを握っているのは、まだ決めていない人なのです。
今の常識を疑おう
常識とは、これほどまでにあやふやで、あなたの一歩で変わるかもしれないようなものです。もちろん、法に違反するようなことはしてはいけませんが、逆を言えば、日本が法治国家である以上法の定める範囲内では、どのような選択肢を取ってもいいのです。
そう、常識は変わるのです。
今まで当たり前で、そうすることが当然で、それが正しいと思われていたことは、たまたま今そうなだけで、明日には誰かの一歩でガラッと変わりかねません。貴方を縛っているそれは、鋼鉄の鎖ではなく、実は細い絹糸かもしれないのです。
働き方を制限する社会の常識
では、新しい働き方を制限している社会の常識について考えてみましょう。
最後までやり遂げる
これはいまだによく聞きますよね。
定職につかずに、いろいろな仕事を転々としていると、社会的信用がなくなるだとか人間性に問題があるとか、様々なことを言われます。
できれば正社員で、同じ仕事を一生地道に続けることが美徳なんだ、と。
しかし、本当にそうでしょうか?
たとえば、かつての「山一証券」の様に絶対に潰れないといわれていた証券会社に勤めていた人たちも、そう思ったでしょうか?ブラック企業で体や心を病んだ人はどうでしょう?きっと、つぶれ行く会社の中で、いち早くその危険性に気づいていた人はいたはずです。ブラック企業で働く中で、身体や心が壊れていく自分に気づいて、今やめられたらどんなにかいいだろうという予感を感じていた人もいるはずなのです。
それだけではありません、社会には、自分のスキルや特性を生かせない会社で埋もれている人はたくさんいます。そんな場所に、ずっとしがみつくメリットは、もはやないのです。
二兎追うものは一兎をも得ず
これもよく聞くフレーズです。
つまり「二足の草鞋」というものの価値を認めず、人はひとつの仕事やひとつの鍛錬に専念した方がよいというものの考え方です。
確かに、一つの道を究めたり、何か専門的な知識に精通するような場合、複数の仕事を持つより一つの仕事に専念した方がいいでしょう。しかし、実は「複数のスキルを持つ」というのも立派な価値ある能力なのです。
たとえば、野球を例に挙げれば、大谷翔平選手はさすがにとびぬけすぎて例にはなりませんが、各球団にユーテリティプレイヤーという選手が存在します。それはどういった選手かといえば、簡単に言えば複数のポジションを守備することができる選手です。そしてそういった選手たちは、一つの守備位置に専念する他の選手と違い、いろいろなポジションを守れることで、チームに大きな貢献をするのです。
そして、一流の才能を持ったプロの世界で、より長く活躍することができます。つまり、普通の社会よりより厳しい世界においても、かけ持つことで自分の価値を高める、つまり「複数のスキルがある」という代え難いスキルをもって活躍する人もいるということなのです。
直接的な人間関係でなければだめ
そして、いまだによく聞かれるのがこれです。特にネットを介して色々な人間関係を構築することに関して、顔が見えないだとか、実際にあってみないとわからないことがあるなどといったいわゆる「ダイレクトコミュニケーション」を重視する考え方です。
もちろんそれはそうでしょう、ネットの付き合いは、さすがに最近は顔を合わせないというものではありませんが、それでも深い付き合いではありません。しかし、そんなドライで表面的な付き合いであることがプラスになることはたくさんあります。
たとえば、性格が良く気の合う人間だからという理由で、仕事ができないにもかかわらず、仕事を回した経験がある人は多いのではないでしょうか。人間関係が深いからこそ、しがらみや遠慮、気のまわし過ぎなどで不効率な仕事をしている人は少なくありません。
また、ネットの付き合いが浅いという時代もまた、もう古い考え方です。全体の結婚人数の中でネットがきっかけで結婚する人の割合も年々増えていますし、ネットを通じた親友というのも、今では珍しくありません。しかも、ネットで広がる人脈の広さと速度は、脅威です。むしろ、それをつかわない手はないといってもいいくらいの物なのです。
常識を壊した先には新しい常識がある
ではそんな常識を覆した先には何があるのでしょうか。
それは新しい価値観による、新しい常識なのです。
最後まで……を覆した先には
これはやはり転職もそうですが、独立やフリーランスとなることが考えられます。
自分のスキルやその夢や希望、そして生きがいというものを充足させるために、勤めていた会社で資金やスキル、人脈を蓄えたらさっさと独立して一国一城の主となる。もちろんそれは安定の道のりではないですが、そこには代えがたい人生の充実があります。
そして、こういったいわゆるベンチャーが少ないことが日本経済の硬直化した状況を生み出している大元だと考えると、日本経済にとっても素晴らしいことなのです。
二兎追うものは……を覆した先には
この先にあるのは、副業やパラレルワークです。
それは、1度しかないたった一つの人生を、いかに効率よくそして効果的に輝かせていけるかという人生の命題ともいうべき事柄に威力を発揮する生き方といってもいいでしょう。
パラレルワークは、社会における自分という人材のユーティリティ能力を飛躍的に向上させます。一つのスキルにおける仕事が失敗してとしても、他にも仕事になるスキルを有していたり、その経験があるというのはこれからの社会にはかなり重要な要素です。しかもそれらのスキルをコンバインしシナジーを持たせることができれば、もはやそれは貴重な単一スキルです。
二兎追を追うことで、普通では手に入らない一兎を手に入れたといってもいいでしょう。
直接的な人間関係……を覆した先には
その先にあるのは、いわゆるリモートワークやノマドワークです。
もしくは在宅フリーランスにおける、クラウドソーシングといったものも、これに当てはまるかもしれません。
ネットを介することで、多くの情報とコミュニケーションを獲得し、その中で、膨大なチャンスを選択し享受することができる。そして、そこにはダイレクトコミュニケーションとは違い、人間関係や出勤といった物理的ロスもない。効率的で効果的で、そして、イレギュラーな邪魔の少ない環境を構築しながら自分のテリトリーで仕事をすることができるというのは、間違いのないメリットです。
常識を覆し時代を変えるのは偉人ではない
かつて、封建的な社会では、常識を覆し時代を変えたのは、一握りの偉人だったでしょう。しかし、今やだれもが情報の最先端に触れることができ、そして、他人に影響力を及ぼすことができる時代なのです。
今この社会の常識を覆し、新しい常識の中で新しい時代を作っていくのは普通に生きるただの人です。何度も言いますが、常識やモラルというのは強固な壁ではなく、なんともあやふやで不安定な多数決の産物でしかありません。そして、その多数派のカギを握っているのは、今、新しい働き方に躊躇しているあなたなのです。
パラレルワーカー
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