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ジョバティカルという働き方

「海外で働いてみたい」。そう考える人は少なくありません。
しかし、現実には語学力の問題や就労ビザの取得、そして仕事先をどうやって見つけるか?といった様々な壁があります。そうした海外就労への壁を取り払うサービスが話題になっています。「ジョバティカル(Jobbatical)」というサービスです。どんなサービスなのか、ご紹介しましょう。

ジョバティカルとは

「ジョバティカル(Jobbatical)」は、2014年6月にエストニアで生まれたサービスです。
その名前の由来は「Job(仕事)」と「Sabbatical(研究休暇)」を組み合わせた造語で、海外に移住して仕事をしたい人のための転職サービスサイトと言えます。移住となると永住権の問題や国によっては外国籍の就労に対し、一定の制限を設けている場合もあります。「ジョバティカル」は永住という選択肢ではなく、仕事のプロジェクト期間だけ現地に住んで働く事を目的としています。その期間はプロジェクトにより異なりますが概ね、1年から3年程度が多いようです。「ジョバティカル」は海外で働きたい人と、高いスキルを持った人材を短期間だけ欲しい企業のマッチングを行うサービスと捉えればよいでしょう。

海外で働くという事

海外で働く事に関して、日本国内での世論調査があります。平成22年に内閣府が行った統計ですが、その中で興味深い統計資料があります。外国で働くことに関心があるかという問いに対し、「関心がある」または「どちらかといえば関心がある」とする者の割合が22.0%でした。

さらに年齢層別の回答では、20~29歳までの層は「関心がある」または「どちらかといえば関心がある」とする割合が40%、30~39歳までの層は約37%、40~49歳までの層で約20%と、若年層ほど海外での就労に興味がある事が分かります。年齢が上がるにつれ、結婚・子育てといったライフステージの変化に伴って海外への興味が変化する傾向がありますが、若い年齢層ほど海外就労を希望しています。その理由も統計結果にあります。

理由の第1位は、「外国の文化や生活に興味がある」(70.3%)「語学力の向上・活用を図りたい」(42.3%)「技能の向上・活用を図りたい」(31.4%)と続き、若い世代の自らの可能性を試したいという意欲が感じられます。一方で、海外で働く上で不安を感じる事は、「治安」(70.5%)「語学力」(63.2%),「生活衛生面」(37.3%)が上位を占めています。

語学力は優先問題か?

「ジョバティカル」に人材募集を行っている企業の多くはIT関連が多く、エンジニアをはじめプロジェクトマネージャー、マーケティングマネージャーなどが募集されています。就労する国もロシア、中国、マレーシアなど多岐に渡り、「ジョバティカル」のサイトには就労国の鮮やかな画像があり、まるで旅行サイトを見ているような感覚になります。そうした海外での就労で我々日本人が気になるのは先の世論調査にもあるように「語学力」の壁です。

しかし、「ジョバティカル」に登録している企業の多くが求めているのは、現地の言語(あるいは英語)でのコミュニケーションより、専門的なスキルなのです。元々、IT業界ではオフシュア開発や海外からの人材受け入れに寛大でした。最低限のコミュニケーションさえ出来れば、専門性の高い分野で結果を出す事は可能です。今もアメリカのIT企業では米国籍以外の人々が活躍しています。そうした現状を受け、「ジョバティカル」は現地では調達しきれない高いスキルを持った人材を世界規模でマッチングする事を目的としているのです。

まさにグローバルな働き方を求める、次世代のエンジニアのためのサービスと言えます。そこでは、まず現地の言語が使える事を前提としていません。最優先されるのは、語学力ではなく個人の持つ専門的なスキルなのです。

就労ビザの問題

海外で働くためにはたとえ短期間であれ、就労ビザ取得は必須となります。「ジョバティカル」には就労ビザや就労許可の取得をサポートする制度があります。同時に働く人を受け入れる企業側とも連携して各国の事情・制度に合わせて外国籍の人が働きやすい環境を整えています。働く人、受け入れる企業の双方にメリットを提供する事で、グローバルな人材をグローバルな企業で働くチャンスを提供しているのです。

どんな企業があるのか?

「ジョバティカル」に人材募集を登録している企業にはIT関連が多いのは先述した通りです。そうしたIT企業はスタートアップが多く、人材を企業内で育てるより実力のある技術者を海外から採用しようとこの「ジョバティカル」に登録しているようです。働く人も働きたい国や企業を選ぶ事が出来ますが、実際に人材と企業のマッチングは「ジョバティカル」運営側が行い、受け入れ企業の採用コスト削減にも一役買っています。

現在はスタートアップの企業を中心に300~400社程登録されていますが、将来的にはもっと大きな規模の企業が海外在住の人材を求めるかも知れません。何しろ「ジョバティカル」がローンチしたのは2014年とわずか3年でしかありません。今後、さらに登録する企業が増えれば真にグローバルな企業が優秀な人材を求めて、採用コストを抑え、国籍問わず募集するようになるでしょう。

海外で働く事のハードルが下がる

日本人が海外で働くためには、働く国、企業を個人で探し、交渉しなければなりませんでした。
これからは、「ジョバティカル」のようなサービスを通じて自分のスキルを武器に海外の企業に直接応募する事が出来るようになりました。就労許可申請などのハードルもこのサービスがサポートしてくれます。外国で働く事のハードルは「ジョバティカル」が下げてくれました。これは、挑戦できるフィールドが広がり、働き方の選択肢が増えたと言えます。

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パラレルワーカー

肩書はCHROではありますが、基本はマーケティング全般や事業企画などが得意で過去には副業紹介サービス「プロの副業」も立上げました。

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