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サバティカル休暇とは

「サバティカル休暇」という言葉をご存知でしょうか?
旧約聖書に登場する故事で、神が6日間働き世界を創造した後、7日目を安息日“Sabbaticus”とした事に由来します。ヨーロッパの企業を中心に一定期間勤務した従業員に長期休暇を付与する制度です。

長期休暇と一口に言っても期間は、1か月以上から長い場合は1年間に及びます。基本的には休暇期間中は無給ですが、中には良心的な企業もあり、最低限の給与を保証するケースもあるそうです。こうした「サバティカル休暇」が誕生した背景や日本企業での導入の可能性について言及したいと思います。

「サバティカル休暇」導入の背景

「サバティカル休暇」はヨーロッパの企業を中心に導入が進んでいます。 その背景には、労働人口の高齢化、労働時間の長期化などの問題を労働対価として単に賃金だけで解消する事の限界があります。社会全体の高齢化は労働者の高齢化にも直結する問題です。そして、日本でも問題になっている長時間労働の解決策として、ヨーロッパで検討された考方が「労働時間、休暇の再分配」という発想だったのです。企業に長く勤めた労働者(相対的に高齢の労働者)ほど、休暇中の給与はなくとも長期の休暇を求める傾向にあり「長期休暇を付与する事で、企業全体としての労働時間を再分配する事も可能ではないか」と考えられたのです。

この「サバティカル休暇」導入前には、労働者の高齢化対策として早期退職制度も導入されました。しかし、早期退職制度には退職金の上積みなどコストがかかり、企業側にとって必要な人材の確保が難しくなるデメリットがありました。こうした背景から、「サバティカル休暇」の導入が積極的に検討されたのです。

ヨーロッパでの実例

労働者の高齢化と長時間労働の解消を目的に導入された「サバティカル休暇」ですが、導入した企業の実例を挙げてみましょう。フランスを代表する自動車メーカー、ルノーでは「サバティカル休暇」の申請に上限を設けています。企業としては一定数以上の労働者が長期休暇を取得する事による生産性の低下を懸念しているのです。

スウェーデンでは、一部で試験的に運用されていた「サバティカル休暇」を2005年から全国的に制度化しました。統計では、「サバティカル休暇」を申請した労働者の約半数が50歳以上で、女性の割合が7割と目立っていました。休暇中の労働力の代替要員として失業者や移民を再配置するなど、「労働時間、休暇の再分配」という当初の目的は達成した形となりました。

同じ北欧のフィンランドでも、「サバティカル休暇」を取得した労働者の代わりに若年層が投入され、ここでも世代間で労働時間の再配分に成功しています。興味深いのは、「サバティカル休暇」を申請した職種のトップ3が教員、医療・看護や福祉、事務職であった事です。
日本でもこの教育分野や医療看護の職種は長時間のサービス残業が常態化しており、まとまった休暇を取得しにくい実情があります。

メリット&デメリット

「サバティカル休暇」はあくまでも休暇ですから休暇を消化した時点での復職は保証されています。
その点は、労働者にとってメリットは大きいでしょう。また、休暇を休養とするかスキルアップの期間にあてるか、介護にあてるかといった理由を問われない点もメリットと言えます。介護や育児による離職を防ぐ意味で、企業側にとってもメリットになります。

日本での導入例

ヨーロッパで普及が進みつつある「サバティカル休暇」は、日本ではどのように扱われているのでしょうか。
リクルートグループでのIT・ネットマーケティングソリューションを手掛ける、「株式会社リクルートテクノロジーズ」では、勤続3年以上の社員を対象として、最大連続28日間の休暇を3年ごとに取得できる制度があります。休暇の取得を応援する手当として一律30万円が支給されるなど、高待遇と言えます。

教育機関では、平成19年度に「京都大学」が、文学研究科、教育学研究科、経済学研究科、医学研究科で「サバティカル休暇」を実施しており、平成19年度には、法学研究科にも実施が検討されたそうです。全学部で実施というわけではありませんが、一定期間以上の長期勤務者に研修を目的として休暇を認めています。

京都大学の例では、休暇の目的を研修や自己研鑽に特定している事は、教育機関ならではの特徴と言えます。
一方で、株式会社リクルートテクノロジーズのように休暇の目的も問わず、手当も充実させるなどの企業(雇用側)の「サバティカル休暇」制度に対する温度差も感じられます。長期休暇を取得する事に抵抗感のある日本の古い慣習や考え方が「サバティカル休暇」を普及させる際の壁となりそうです。

「サバティカル休暇」の可能性

政府の「働き方改革」を受け、日本でも長時間労働の是正や生産性の向上などが検討されています。ワークライフバランスの確保も検討課題のひとつです。ヨーロッパでは「サバティカル休暇」は「労働時間、休暇の再分配」という発想で普及が拡大しつつある制度ですが、日本では長時間労働の是正という目的で「サバティカル休暇」の導入が検討されるかも知れません。年間の労働時間を長期休暇によって短縮しようとする意図です。

しかし、年間ベースで個人の労働時間が短縮されても、長期休暇前後の業務の引継ぎなどにより一時的に長時間の残業が増える可能性があります。
個人の業務を他の要員にスムースに引き継ぐなど、普段からの業務改革が日本で「サバティカル休暇」を普及させる鍵となりそうです。

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