複業(パラレルワーク)

収入源を複数持つ生き方、人間本来の姿に戻ろう。

生活を営むための源泉である収入源。
これまでは、一つの会社に勤め堅実に働くというのがその理想の形とされてきました。
しかし昨今、政府の進める働き方改革の影響もあり、複業もしくは副業を持つことによって複数の収入減を持つ生き方もまた、注目されつつあります。
今回はそんな複数の収入減を持つ生き方に歴史の観点から迫ってみたいと思います。

それは縛られているという証

海外でこんなことを言うと不思議がられる

海外、特に欧米諸国においては複数の収入減を持つのは当たり前です。
と、書くと、やはり欧米の方が変化のスピードが速いのか、と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、それは間違いです。
そうではなく、もともと欧米では単一の収入減で賄うことが普通ではないのです。
もちろん、一つの企業に勤めてそこだけで収入源をまかなう人もいますが、それが普通なのでもまた変わっているのでもなく、一つの選択肢でしかないということなんですね。
しかもそれも、どこかのCEOをしながらどこかの取締役の様なエグゼクティブだけの話ではないのです。
サラリーマンをしながらディーラーもしているですとか、教師をしながら農業を営んでいる、それこそサラリーマンをしながらバーテンもやっているなど普通の人でも普通にそういう生き方をしています。
ですので、日本で副業を認めるですとか副業が認められ始めたなんて話をすると、きっと欧米の方は首をひねってしまう事でしょう。

江戸商人と武家の規範

ではこの私たちを縛る常識はどこで生まれたのか、そうそれは江戸時代にまでさかのぼります。
日本の江戸時代、それは、世界でも類を見ないほどに繁栄し爛熟した、傑出して文化的な時代でした。ですのでその影響は遠く現代までしっかりと残ることになったのです。
もちろん良い事ならばいいのですが、そうでないものも残念ながらあります。
その中で今回の話題に適合するのが、当時の武家や商家において絶対の決まりで美徳であった「滅私奉公」という考え方なのです。
これはつまり、私を殺して公につくす。という昭和型のサラリーマンなら痛いほどわかる美徳です。
この考え方が、企業や政府にとって相当に都合がよく、またありがたい考え方なのはわかりますよね。
しかし、同時に、この考え方はそこで働く労働者にとってはかなり過酷なものの考え方です、しかし長い歴史の時間の中で、時代性に合わせて柔軟に形を変えたせいでうまく機能し、ここまで来たのです。
そして、今もその名残は残っています。
そう、収入源を一つしか持たないことを美徳とするということは、江戸時代の常識にいまだにとらわれていると言って過言ではないのです。

もちろん役に立った時代もあった。

とは言え、この滅私奉公型の社会も、役に立った時代はありました。
たとえば、明治維新の頃には、この滅私奉公型の日本人の美徳が、あまりに急速な変化の中でもその変化に対応し、植民地となる前に近代国家を成立させたのは言うまでもありません。
あまり褒められたことではありませんが、太平洋戦争の前半で最初勝てたのもこのおかげです。
そして最近で言えば、高度経済成長によって戦後の復興をしっかりと成し遂げ、今の経済大国日本の形ができたのもこのおかげでしょう。
もっといえば、バブル崩壊後の日本で、あれほど不景気だったにもかかわらず、庶民がそれなりに生きてこれたのもこのおかげといって過言ではありません。
世界が見た、日本の軌跡、それはこの滅私奉公型の社会が成し遂げたのです。
しかし、時代は変わります。情報技術の発達でそれはもうガラッと変わるのです。
確かにそれは歴史の中で私たちを助けてくれたものであったかもしれませんが、これからもそうであるとは言い切れませんし、むしろそうでない公算の方が高いのです。

より人間らしい本来の姿へ

かつてはみんなそうでした。

副業を持つ、もしくは収入源を複数持つという生き方、それは何も新しい生き方ではありません。
といっても、先ほどのように西洋では普通だよという話をここで繰り返そうというのではなく、日本においても実は普通だったという話をしたいのです。
それはやはり江戸時代です。
時代劇でよく見る岡っ引きという人たちがいますよね、目明しなんてい方をしたりします。
この人たちは一般に武士ではなくいわゆる町人で、侍の下働きをする、いわゆる今でいう所の嘱託の公務員といったひとたちです。
そして、この岡っ引きは皆、その仕事以外に自分の仕事を持っていました。
ある人は蕎麦屋であったり、大工であったり、飾り物職人であったりと岡っ引きの仕事とは別に収入源を持っていたんですね。
もちろんこれは岡っ引きだけではありません。
大きな商家の一員や主君ある武士でない限り、ほとんどの人が内職や副業、それこそ二つ三つの掛け持ちをして生活をしていたのです。
それはむしろ、当たり前だったのです。

不安定という要素

ではなぜそんな働き方をしていたかというと、それは不安定な社会基盤がそこにあったからです。
当然江戸時代には、国民全員に保険制度があるわけではなく、また社会保障制度や福利厚生、福祉などの概念もありませんでした。
ですので、今普通に食べられていてもいつ仕事がなくなって路頭に迷うかわからない時代だったのです。
そこで人々は複数の仕事をもってその時代を乗り切ろうとしたわけです。
こういう言い方をすると、極貧の中でやむにやまれず複数の収入減を持っていたと考える人もいるかもしれませんが知れもちょっと違います。
もちろんそういう人もいたでしょうが、江戸時代の江戸はそこまで貧困のあふれる場所ではありませんでした。
むしろ江戸の庶民たちは、そうやって複数の職業を得ることで自分体の生活基盤を自力で安定させ、その中で魂の贅沢を楽しめるほどに充実した生活を行っていたと言います。
変な話、ただの一般の職人がお金を出し合って吉原に通えた時代だったのですから、極貧なわけなないですよね。

不安定という名の自由

そして、それは、江戸時代に数限りないベンチャーを生み出すきっかけとなっています。
というのも、確かに不安定な社会基盤の時代でしたが、その不安定さは逆を言えばしばりのない自由な時代ということでもあり、そこにはチャレンジが許される土壌があったのです。
江戸時代においては、自ら起業して店を起こすなんてことは当たり前の話でした。
ひとりの行商人が行商の傍ら内職をし、またその足でいろいろ歩き回ることで、本業以外の商品も片手間に売り歩いてお金をため、表通りに店を出す。
こういうことが、ごく当たり前にそこにはあったのです。
そしてそのような生き方を選択することを誰も不堅実で尻が定まらない生き方だと非難する者はいなかった、むしろ立身出世を皆がうらやむ時代ですらあったという人もいます。
江戸の豪商で紀伊国屋文左衛門に続く有名人の奈良屋茂左衛門は、もともとただの肉体労働者だったとも言われます。
同じく江戸の豪商である河村瑞賢もまた、1肉体労働者から豪商となった人で、もともとの家は三重県の貧しい農家の生まれです。
しかし彼らは、様々な方法でお金をため、最後には人もうらやむ豪商となったのです。
もちろんその陰にはたくさんの豪商になりそこなった人たちはいたでしょう、しかし、この不安定だけれど自由な社会が寒村の貧農から銅像が立つまでの大商人を生み出す土壌であったことは間違いないのです。

まさにこれから訪れる時代

そして今、ネット社会の繁栄とAIの急速な発達が見込まれる現代はまさに不安定化の一途をたどっています。
行き過ぎた少子高齢化の進展は、100年安心の年金制度を崩壊させ、今の若者が年金をどれだけいつからもらえるのかなんてまったく不透明です。
10年前に潰れると思わなかった企業もしくは衰退するとは思わなかった企業が、これから軒並み姿を消すでしょう。
ネットのもたらした流通革命は、かつてどんな小さな地方都市にでも存在した様々な量販店や百貨店、スーパーや小売店をどんどんと淘汰していくことは間違いありません。
そう、時代はかつての江戸頃のように、下手をするとそれ以上に不安定化をしていく様相を見せているのです。
ひとつの企業に勤めていれば安泰の時代は終わります、国がどこまで国民の生活の安泰に資することができるのかも全く不透明です。
しかし同時に、そこには江戸時代のような自由さもまた産まれてくるはずです。
江戸の町人のように、複数の職業を持ち複数の収入減を得て、自力で生活を安定させ面白おかしく生きて暮らすか、奈良屋茂左衛門や河村瑞賢のように、立身出世を夢見てベンチャーを起こすかそれは自由です。
もちろん、同じ江戸の頃でも大きな商家に勤めてたり公僕となって滅私奉公に励む生き方もいいでしょう。
というのも大事なのは、そこにはしばりのない自由な選択肢があるということ。
不安定だからこそ自由で、より自分の意思が反映していくこの時代において、複数の収入減を得る生き方を選択肢から除外しない生き方は、まさに人間回帰。
より人間らしく、自由で闊達に生きて行こうということに他ならないのです。

複数の収入減を得ることもできる自由な生き方へ

いかがでしたか、読んでの通り、複数の収入減を得ることをそれ以外の生き方と比べて良いとは言いません。
しかし不安定化が進むこの社会において、江戸の頃のように、その選択肢も自由に選べる自由な精神が必要だ、とそう思っています。
この社会に絶対的な正解がないのなら、そこに絶対の真理がないのなら。
あなたはあなたの価値観とあなたの正解を頼りに生きて行ってもいいのですし、それがある意味あなたにとってあなただけの唯一絶対の正解なのです。
これからの不安定な時代を、江戸時代の様な繁栄の時代に変えるのは、そう言ったひとりひとりの自由な発想と価値観にかかっているのですから。

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