女性が働く。
ほんの20年前であったら、なにか特別な意味を持って聞こえていたこの言葉も、今ではあたりまえ過ぎて強調することのない言葉へと変わってきましたよね。
もちろん、いまだに女性の働く環境は十分とは言えませんが、それでも、もはや働く女性は当然の存在です。となれば、昨今の働き方改革に端を発する新しい働き方というものだって、女性とは無縁の話ではありません。むしろ、女性こそ、そういった働き方に注目すべき、そんなものでもあるのです。
女性のライフイベントは厳しい
人生の中で大きな転機となりうるライフイベント。
学生時代であれば、入学や卒業、受験などがこれに当てはまりますが、特に男性にとって、会社に入ってしまうとその様な大きなライフイベントはなかなか起こりません。
しかし、女性は違います。
男性と同じように、昇進や転勤といった会社由来の物は当然ありますし、結婚や妊娠、出産、育児などといった女性特有のライフイベントは、今後盛りだくさんです。
特に結婚は、一見男性にもあるように思われますが、結婚する当人の考え方が先進的でも、その親の考え方は案外古いままということは多いもの。すぐに仕事をやめて家庭に入れというのはさすがに少ないとはいえ、似たような意見を言う人は少なくありません。結婚して子供を授かるまでは、仕事量を減らして家にいるべきだ、ですとか、主婦になる必要はなくても正社員ではなくパートやアルバイトにするべきだという意見を言う親世代はまだたくさんいるのです。
それを考えると、社会の表舞台で働くキャリア女子の前には大きな壁がたくさんあるということ。こういったライフイベントとうまく付き合うことが、社会で働くための大きな一つの指針であることは言うまでもありません。
パラレルキャリア女子になってみよう
キャリア女子に必要なのは、自由でフレキシブルな環境
多くのライフイベントが待ち構える女性にとって、そのライフイベントと付き合いながら働くのはなかなか困難です。しかし、だからといってあきらめてしまうのはもったいないこと。ライフイベントを充実させるために、せっかく築いたキャリアを捨ててしまうのももったいないですし、築いたキャリアを守るために、結婚や出産というイベントを捨てるのも、同様にもったいないですよね。
となれば、社会で働くキャリア女子にとって、重要なのはこういったライフイベントに適応する自由な環境。結婚や出産などのイベントのたびに上司や会社に気を使いながらという不自由で固定化された環境ではなく、もっとフレキシブルにいろんなことができる環境が必要なのです。
しかし大企業ですら自由ではない
ところが、残念なことに、いまだに日本企業は、その辺の考え方が甘い企業が多いのも事実。育休や産休があるのは当然のこととしても、その基準は会社によってばらばらで、復職後の待遇もやはり企業によってまちまち。しっかりとしているように見えて、例えば産前休暇を6週間以上は絶対にとらせないという企業もあるのです。もちろん法定の産前休暇が6週間なので、仕方ないとはいえ、つわりや体調不良が起こりやすいのも確かですし、妊娠は人によっていろいろなタイプが存在しますよね。
復職後の待遇も、法律で休職前の水準ときめられてはいるものの、目に見えない圧力もあると言います。しかしこういった事例もいわゆる「大企業」の話。社会的な責任や、会社の体面的な措置で育休や産休をしっかりと取ってもよく、いろいろな配慮を形だけでもしてくれる、大企業ですら、いまだにこういう企業があるのです。
中小企業の実態はもっと深刻
大企業ですらそうなのですから、中小企業となるともっと事態は深刻です。
当然のことですが、妊娠や出産を理由に減給や降格をすることは法律違反ですし、解雇や、それこそ産休育休自体をとらせないというのはもってのほかの事例です。
しかし、働く女性の悩み相談などを見れば、そういった企業がいまだに存在しているのは間違いのない事実です。もちろん、おおっぴらにそういうことをするのがはばかられるという、最低限のそれでいてなんの意味もない現代感覚を持っている企業はそこまでのことはないでしょう。
しかし、そういう企業こそマタハラといわれる、無言の圧力や形のないヘイトというのはあるのです。その事実は、法で禁じられているサービス残業や労働時間超過が当たり前に存在している現実や、少子高齢化がここまで進んでいる現状を考えれば、簡単に納得できます。もちろんこれから改善していく可能性もありますが、今の段階で、キャリア女子がライフイベントと上手に付き合えるだけの体制は、日本社会にはキチンと整っているとは言えないのです。
そんなキャリア女子にこそパラレルキャリア
日本の社会は、いまだ女性のライフイベントに対する認識が甘い。
そしてそのせいで、日本に生きるたくさんのキャリア女子にとって、ライフイベントと上手に付き合い、仕事と両立するのはもちろん、その両方をしっかりと充実させるのはかなり難しい。ということがわかっていただけたと思いますが、しかしだからといって、あきらめるのはもったいないというのは、先に書いた通りです。
ではどうすればいいのか、そこでお勧めしたいのがパラレルキャリアです。この後説明しますが、パラレルキャリアというのはとても自由で、自分の選択肢を自分で設定することのできる働き方です。つまり、それは自由を自分で獲得するという選択肢。
企業が、いや日本社会がキャリア女子にライフイベントを充実させるような選択肢をくれず、自由を与えてくれないというなら、自分で自由になろうとすること。ここでお勧めするのはそういうことなのです。
パラレルキャリアって何だ?
選択肢を自分で作っていくという生き方
パラレルキャリアとは、簡単に言えば本業を2つ(もしくは複数)持つということです。
こういうと、ただ単純に仕事量が倍加し、より忙しくなるだけのように感じますし、さらにがんじがらめになることでライフイベントへの対応力が減少するように感じられますよね。
しかし、これは、いわゆる働くということに関して固定概念を持った日本人らしい発想であって、パラレルキャリアの真実にはつながりません。
では、パラレルキャリアの本質とはなにか。それは、生きていくための収入源を2つ(もしくは複数)確保することで、変化にとんだライフイベントが起こったときでも、どうやってそれを充実させるかという選択肢を自分で作れる、ということなのです。
一番のメリットは選べるという事
ですから、パラレルキャリアの一番のメリットは、選べるということにほかなりません。例えば、出産や育児が大変な時にパラレルキャリアを実践していれば、どちらかの仕事をいったん休業することで、その負担は大きく減らすことができます。
また、復職に際しても色々な選択肢が取れます。
たとえば、復職に際して様々なデメリットが存在している仕事が複数あるキャリアのひとつに存在するなら、そちらをやめてしまうというのも一つの手です。ほかにも、育児という新しいライフイベントをしっかりと充実させるためにすべての仕事をやめてしまったとしても、パラレルキャリアで複数の経験を積んでいれば再就職にも役立つはずです。
また、パラレルキャリアを通じて手に入れた新しいスキルをもとに、在宅ワークを始めるという手もあります。
ウンテイと鉄棒の違い
突然ですがウンテイ(雲梯)というものをご存じですか。
地域によっては「さるわたり」ともいわれる遊具で、よく校庭の端っこにある、はしごを横向きにしたような運動器具のことです。で、なぜいきなりそんな話を出したのかというと、実はパラレルキャリアとは、このウンテイのようなものなのです。
つまりどういうことかといえば、パラレルキャリアを持つことによって、あなたはウンテイを進んでいくように、両手で前に前進することも、その場で休むことも、後戻りをすることもできます。突然つかんでいる棒が折れても、つかんでいるもう一方の棒があなたを転落から救ってくれることでしょう。ひとつ飛ばしをするか、ひとつずつ着実に進むか、それとも一本に両手でしがみついてそこに留まっているのかなど、その選択肢はたくさんです。
一方、今までの働き方は、鉄棒です。
その一本の棒が濡れて滑りやすくなったり折れたりすれば、落下以外に選択肢はありません。前に進むことも後ろに戻ることもかなわず、そこに留まる以外に選択肢は存在せず、他の棒に変えようと思ったら、一度降りてしまう以外に方法はない。変化に富む女性のライフスタイルに対応するためには、どちらがいいのかは言うまでもないですよね。
<3社で「複業」している女性の例>
パラレルキャリア女子になって人生を楽しむ
結婚も妊娠も出産も、そして子育ても、女性特有の大変なライフイベントです。
しかし、それを経験した多くの女性が口をそろえて言うように、それは女性だけに許された幸福で楽しく、そして充実感を得られる最高のライフイベントでもあります。
もし、あなたがそういったライフイベントをしっかり楽しみたいと思っているなら。そして、そんなライフイベントをしっかりと楽しみながらもキャリア女子としてしっかりと社会の第一線で働きたいと願っているなら。
ただのキャリア女子からパラレルキャリア女子にステップアップしてみませんか?少なくとも、選択肢の一つとして、頭の片隅に入れておくべき生き方の一つであることは間違いのないことなのですよ。
パラレル
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