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サラリーマンの悲哀か?時代の犠牲者か?フラリーマンの実態に迫る。

仕事が終わってもまっすぐ帰らずにふらふらと街をさまようサラリーマン。
通称「フラリーマン」
昨年、このフラリーマンと呼ばれる人たちが急増しているとNHKで特集され、話題となりました。
しかし、本当のところはどうなんでしょうか。
今回はフラリーマンについて迫ってみました。

フラリーマンとは?その原因とは?

ではフラリーマンとは何かとその原因に迫ってみます。

所在なく街をさまようサラリーマン。

まっすぐ家に帰らない。
昔はサラリーマンにこの説明文が付けば、接待や飲み会、もしくは歓楽街の女性相手の夜遊びか浮気と相場が決まっていました。
しかし、フラリーマンは違います。
接待でも飲み会でも、当然女性関係の怪しい話でもなく、漫画喫茶やネットカフェ、パチンコやゲームセンターなど、完全にただの時間つぶしをする人たちのことを言います。
いわゆる帰宅拒否なのですが、そこまで深刻ではないところからフラリーマンと呼ばれるわけです。

なぜフラリーマンになるのか① 家に居場所がない。

ではなぜフラリーマンになるのでしょうか。
朝日大学マーケティング研究所の調べでは、既婚男性の中でも子供のいる世帯の方が寄り道傾向が多いことがわかっています。
そうつまり、フラリーマンは家に子供がいる家庭が多いわけです。
家に帰れば、仕事に疲れた体で子供の面倒を見なければいけない男女共同参画社会のお父さんとしては、家に帰る前に体を休めておきたいというわけです。
これについてはNHKでも取り上げられ、主に批判で構成された反響が寄せられました。
まあ、わからなくもない話ですね。

なぜフラリーマンになるのか② 働き方改革のせい。

非常に矛盾をはらんだ話なのですが、フラリーマンになる理由の一つに働き方改革があります。
つまり、働き方改革によって残業の量が減り、そしてプレミアムフライデーなどで早く会社から放り出されたお父さんたちが、家に帰るとより疲れるという理由で街をさまよっているというわけです。
なんともこれは皮肉な話です。
働き方改革は、その理念の中に自由な労働環境と過重労働の抑止が込められています。
しかし、残業が減ったことによって、サラリーマンのお父さんたちは自由な環境を得る為に帰宅を拒否し、また過重労働を防止した結果より疲れる家庭に帰らない。という状況が出来上がったのです。
これではいったいなんのために働き方改革を実施したのかわかりませんよね。

フラリーマンをめぐる批判

ではそんなフラリーマンはどんな批判にさらされているのか、見ていきましょう。

子育てからの逃避は許されない。

これは、やはり同じく働く奥さまや主婦の方からの批判として、多く存在するものです。
働く奥様や主婦にしてみれば、子育てをめぐるいわゆる育児労働に関しては、自分たちだって休む間もなく働いているのに、自分だけ休もうとするのはずるいというわけです。
時代は男女共同参画の時代ですし、子育ての分担も今や普通のこととなりました。
男は子育てをしなくていい。男は遅く帰って寝るだけでいい。という旧来の考え方はやはり古臭い考えであることは間違いないわけです、そこに軋轢が生まれるのは当然のことと言えるでしょう。

自由時間の効率的な運用をしろ。

もう一つは、やはりこれですね。
働き方改革で早く会社から解放されたからと言って、無為に時間を過ごすのはどうなんだ?という意見です。
たとえば、子供の面倒を見たくないのであれば、そこを自らのスキルアップのための学習活動に使うですとか、もしくは、体力維持のためのトレーニングに使うというなら家族の味方も変わるかもしれません。
ほかにも、それでもなお隠れてふらつきたいなら、もっと身になる趣味はないのか?なども批判としてあります。
やはり、ただただ暇をつぶすために、所在なく漫画喫茶やネットカフェに入り浸るというのは、現実からの逃避に見えて体裁の悪い物なのかもしれません。

でもその批判は正当なのだろうか

数々のフラリーマンに対する批判。しかしその批判は本当に正当なのでしょうか?

帰宅した夫が子育てをする間、妻に負担は軽減する。

これは重要なポイントなんですが、子育てからの逃避と言っても、それは両者に当てはまるということです。
たとえば、夫がフラリーマンにならず早く家に帰宅した場合、そこから夫が子育てをバトンタッチされることを考えてみましょう。
するとどうでしょう、その間は妻の方が子育てから解放されるわけです。
それが言い過ぎであったとしても、少なくとも、その間、妻の子育てに対する負担は、大幅に軽減されることは間違いないわけです。
もし、ほとんど同等の会社勤めなどの外仕事をこなしている夫婦であれば、それは構わないのです。
しかし、妻の方が主婦であったり、もしくは、子育てを鑑みて仕事の量を大きく優遇されていたり夫ほどバリバリ働いているわけでないのなら、早く帰ってきて育児を負担しろ。は少しいいすぎな感があります。
これでは、夫の休む間がなくなってしまうのですから。

働き方改革が唐突過ぎる

プレミアムフライデーを含めた働き方改革は、労働者の労働条件の改善を目的の一つとしています。
しかし、その導入と制度の理念は、正しいとはいえ社会の現状に即しておらず、その制度を受け入れる社会の受け皿はまだ完成していないのが現状です。
つまり、働き方改革の成果としてできた自由時間を有効に使う手だてには限りがあるというわけです。
フラリーマンの中には、ネットカフェなどで、いわゆるリモート残業にいそしんでいるという人もいると聞きます。
少なくとも、残業のない出社後の時間をいきなりもらっても、持て余してしまう人の気持ちがわからないとは言えないのが現状です。
そこには、サラリーマンの現状と政府の理想との間に大きな格差があると考えることもできるのです。

フラリーマン撲滅のためには。

ではそんなフラリーマンを撲滅するためには何をしたらいいのか、考えてみましょう。

夫婦の平等についてしっかり話し合う。

はっきり言って、子育ての分担に正解はありません。
こればっかりは社会のコンセンサスを完ぺきにとることはできませんし、社会の常識で夫婦間のバランスを縛ることなどできません。
いってしまえば「よそはよそうちはうち」です。
しかし、だからこそそこには夫婦間の話し合いというのは必須になってくるでしょう、しかも、この働き方改革によっていきなりできてしまった時間に夫が戸惑っていることも含めた話し合いが、です。
時代が変われば考え方も変わりますし、その変化を受け止めるには相互理解が絶対不可欠です。
そこに、自分の価値観と世間の論調やマスコミの意見をごり押しして進めるのではなく、夫が気持ちよく家に帰れるように、そして妻が気持ちよく夫を家に迎え入れることができるように。
しっかりとした話し合いが必要になるのです。

お金を使うのではなく、稼ぐ。

空いた時間、無為に過ごすと言ってもそこには出費がかさみます。
また、そこを有意義に使おうとして、英会話教室やジム通いをしたのでは、さらに大量の出費がかさむことになります。
きっと、この不要な金銭的コストも、フラリーマンへの批判の理由の一つです。
ならば、その自由な時間を利用して、お金を稼ぐという方向にシフトするというのはどうでしょうか。
働き方改革で注目されているのは残業の抑制などの過重労働の是正だけではなく、副業解禁リモートワーク(政府の指針で言うとテレワーク)などの自由な労働形態も入ります。
ならば、その出来上がった空いた時間に、働き方改革の波に乗って副業を始めればいいのです。
これならば不要な金銭コストがかかるどころか逆に収入を得ることができますし、仕事で遅くなるというこれまで通りの大義名分も完成します。
そこまでして家に帰りたくないのか、と思われるかもしれませんが、限りなくプラスの多い選択肢であることは間違いありません。

そもそもフラリーマンじゃいけないのか。

最後に、そもそもフラリーマンじゃいけないのか、と考えてみましょう。
個人的な考えで申し訳ないのですが、私は、フラリーマンでもいいじゃないかと思える一面もそこにはあるのだろうと考えています。
というのも、いくら妻子ある父親とはいえ、そこは人間です。
時には逃避を起こしたくなったり、だれにも邪魔されないリラックスタイムの為に、自分に与えられた小遣いから出費して浪費をしたっていいじゃないですか。
もちろん、どうしてもそれは許せないという奥さまや世間の声はあるでしょう。
しかし、もしそうだったとしても、いやなら自分の旦那さんだけにそれを科せばいいのであって、また嫌なら自分がそうならなければいいだけです。
これからの社会、特に働き方改革後の社会に求められるのは、働くという価値観への自由なとらえ方です。
今までの社会は、誰でもない誰かの集合体である正体不明の世間の声に流されて、みながそれに前にならえをすることで出来上がっていました。
しかし、高度に情報化が進み、時代の変化がはげしい現代はもうそういう時代ではありません。
マスコミの論調も世論という作り上げられた同調圧力も、今やあまり効果をなさない時代に突入しています。
そんな時代です。
胸を張ってフラリーマンでもいいのではないですか?これから自己責任の社会が始まるのです。
その自由な選択肢の責任は、本人がとるしかない社会ですが、それは同時に、その選択肢を自分の意思で選んでもいい社会だということです。
それもまた、働き方の多様性という、いま日本が目指している社会の姿だと言えなくもないのです。

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パラレルワーカー

肩書はCHROではありますが、基本はマーケティング全般や事業企画などが得意で過去には副業紹介サービス「プロの副業」も立上げました。

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