今や、世界ではある意味常識となっているリモートワーク。
中には、このリモートワーカーである利点を生かして、自分のデスクやPCをハブとして、複数の仕事を同時にこなすリモートワーク的な複業をやっている人も少なくありません。
しかし、この働き方は、日本においては、少数派、いやほとんどいない希少種といってもいいでしょう。
昨今有名ハリウッド俳優を起用しているコーヒーメーカーのCMでその姿を紹介されてはいましたが、そのCMのテイスト通りリモートワークは日本ではいまだ未来の働き方です。
そんな日本で、本当にリモートワークを使った複業は一般化するのでしょうか。
リモートワークとは何か。
まず、これから説明しなければいけないところが日本の現状を表しているといえますが、ここから説明しましょう。
まずリモートワークですが、これを日本語的に表現するなら「非出社型」の働き方と言えます。
これはつまり、近年の様に高度にインターネットによる通信網が発達した時代においては、会社に出社するまでもなく、それぞれの家やより効率の上がる場所で働く方がよいという選択です。
資料が電子化されていれば、資料室に行かなくてもかまいませんし、ネット通信で会議に参加することもできます。
作成した書類を印刷してコピーして関係各所に配布するよりも、むしろネットでそれぞれのPCに送る方が早いくらいのものです。
このように、出社しないことの目理人とその効率性を持って働く方法をリモートワークと言います。
これは、昨今話題になっているノマドワーカーなども含まれる、新しい働き方の概念です。
日本にリモートワークは根付くのか
では、そんなリモートワークは日本に根付くのかを考えなければいけません。
先ほど例に挙げた某有名なCMのように、現在はあくまで未来の働き方なのですから。
まず、日本においてリモートワークが定着するか否かにおいて一番大きな障壁となるのは、まちがいなく、人間関係というものを重要視する土壌です。
とにかく、日本人はコミュニケーションを大切にします。そしてそんな会社は数多く存在しているのです。
たとえば、まず出社してから社歌を歌ってラジオ体操をし、朝の訓示を聞くような会社にリモートワークは定着するはずがありませんよね。
笑い話のようですが、現在も当然のようにこういう会社は存在します。
また、日本の会社におけるコミュニケーションとして、なぜかみんなで昼食をとりながら会議をするパワーランチや、接待の宴会、上司から誘われるノミニケーションなども厳然と存在しています。
しかもこれらに関しては、日本の先頭を行くべき大手企業などにもしっかり存在しているのです。
これでは、日本に非出社型のリモートワークが根付くのはどう考えても無理な気がしてくるのも仕方のないことのように思えますよね。
新しい世代の労働者が空気を換えつつある。
しかし、悲嘆にくれることばかりではありません。
前段で紹介した日本型のコミュニケーションを大切にする働き方というのは、いわゆるネットというものを大人になってから知った世代にとって当たり前の物です。
その世代は、ネット環境というものをヴァーチャルと認識し、現実世界とは違う副次的なものと捉える世代なのです。
しかし、ここ数年、新入社員として会社に入ってきている人たちはそうではありません。
彼らにとってネット環境というのは、副次的なものでもヴァーチャルなものでもなく、現実世界と地続きの上にある当たり前の世界です。
そこで行われることを現実と区別しない世代だといってもいいでしょう。
もはや彼らにとってネット環境とは、子供のころから当たり前のようにそこにあって、自分という個人の世界を拡張するデバイスです。
彼らにとって、Skypeやlineで会話をすることと、実際に同じ空間に存在して話すこととの間に差はないのです。
そしてそんな彼らを中心として、ノマドワークなどのリモートワークは、一般的というには程遠くても少しずつ市民権を得てきています。
そんな彼らに対応すべく、少しずつではありますが、そんな風潮に合わせて変わろうとしている企業もあるのです。
とはいえ、それは、日本型のコミュニケーションを重視する社会が崩れてきているのではありません。
ただ、コミュニケーションをとる場所が、ネットの外からその中にまで拡張していると考えるべきものなのです。
もしかすると、この先、ネットを介した忘年会や、ネットでつながった社員たちが一斉に社歌を歌いラジオ体操をするような企業が誕生するかもしれませんよ。
国の後押しも微力ながらある。
このような現状において、実は国の政策としても、少しその後押しをするような傾向がみられてきています。
それが、2016年に内閣官房に設置された「働き方改革実現推進室」で取り組まれている「働き方改革」です。
もちろんこれは、サービス残業の廃止や、子育てをしながら働きやすい社会、障碍者高齢者でも働ける社会を目指したものでリモートワークとは関係ありません。
しかし、その理念の根底には、個人のニーズに即した働き方を模索するというものがあるのです。
国の動きとは、基本的に社会の動きを反映します。社会の動きを反映し、その影響を受けてゆっくりと動いて行くものです。
しかし重要なのは、ゆっくりながらも、個人のニーズを尊重した働き方の方向に動いているということです。
つまりこれは、日本という社会の労働環境が目指していく方向性が、集団の総意や集団の医師から、個人のニーズへとシフトチェンジしていることの間違いのない証左になるのです。
方向性さえ決まってしまえば、社会はその方向に向かって進みます。
そのスピードは国の政策や施策とはけた違いに早く、国がそういう政策を打ち出すころにはそれにすっかり適応できる状態であるように進んでいきます。
今はまだ小さな動きかもしれませんし、微力な後押しかもしれませんが、少なくとも、国全体で働き方に関する意識を変えていこうという方向に進んでいることは間違いないのです。
しかもそれは、集団から個人へと向かう方向にです。
こうなると思いのほか早いのかもしれない
新しい世代による変革と、国の後押し。
もしかすると、この二つがそろった段階で、リモートワークによる仕事環境の変化というのは意外に早く訪れるのかもしれません。
たとえば、皆さんは、今、このネットによってさまざまなことができる社会を10年前に想像したでしょうか。
じつは、現在の20代においてネットを介して結婚した人の割合が25%に迫ろうとしているということを皆さんはご存知ですか?
これは複数のアンケートサイトや調査会社の数値をもとにしたものですが、ほとんどの場合20%を超えています。
もちろんネット上のサイト調べなので、話半分で考えたとしても、10人に1人はネットを介して結婚したということになります。
もし10年前、こんな話をして皆さんは信じたでしょうか?
結婚どころか、10年前の社会においてはネットをかなり頻繁に使っていた人の中でさえ「ネットで恋愛とかありえない」と思っていた人の方が多数だったはずです。
しかし、社会はたった10年でここまで変わりました。
そして、この背景には、若者の意識の変革と、IT革命という懐かしいフレーズの本当に微力だった国の後押しがあるのは間違いありません。
若者の支持を得て国が後押しした場合、社会の変革のスピードは、今や、想像を絶するものなのです。
リモートワークが広まれば複業は加速度的に増える
もし、リモートワークがこの日本社会においても一般化すれば、複業はあっという間に一般化します。
なぜなら、リモートワークと複業の親和性は、その理念としてもまた効率で考えても、まさにベストマッチングな特徴を持っているからです。
それは、自由という名のライフスタイル。
リモートワークが、非出社型といわれるように、出社するという鎖からの自由ならば、複業は、ひとつの仕事に専念すべきという日本の常識からの自由です。
そして、時間やペース、場所、働く姿でさえ自由であるリモートワークは、複業の効率に自由度をもたらします。
どこにいてどんな仕事もできる。
これまで日本社会で複業をするうえで、最もネックだった、複数の職業をこなす時間の確保とそのプランを立てるという作業はリモートワークによって大幅に簡略化され効率化されます。
このような状況で、リモートワークの一般化が複業という働き方の一般化の強烈な後押しになることは、もはや疑いの余地はないといっても過言ではないのです。
まとめ
今現在、日本の社会においてリモートワークはおろかそれを利用した複業は、もちろん一般的ではありません。
それどころか、理解してもらうのも一苦労といった状況です。
しかし、ここまでで説明した通り、ネットを手に入れた社会の変化は加速度的に早く、また、間違いなく社会の変化の方向性は、それらを歓迎する方向に動いています。
そう考えると、今は、まさに分水嶺といえるのかもしれません。
いつの時代もそうですが、変わりゆく社会の中で、その先頭に立っていくものというのは理解されにくくまた多くの困難に直面するものです。
しかし同時に、先駆者というのは、その苦労に見合った利益を得ることも、歴史の真実です。
そう考えるのなら、このいまこそが、新しい働き方としてのリモートワークとそれを使った複業を始める最大のチャンスかもしれません。
私たちは今そんな時代にいる、それだけは間違いないことなのですから。
パラレルワーカー
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