複業(パラレルワーク)

パラレルワークのデメリット、きちんと覚悟して乗り越える。

副業解禁に時代となり、にわかに注目を浴びる新しい働きかた。
その中でも、本業を定めない複業、つまりパラレルワークへの注目は日に日に高まっています。
しかし、その注目は当然のことで、パラレルワークが今度の日本における働きかたの一つの主流になることはもはや容易に予測できます。
しかし、今はまだ先進的な働きかた。
そこには、どうしても社会が追い付いていないことによるデメリットは存在するのです。

パラレルワークにおける労働時間をどう考えるのか。

ひとつの本業に専念するとなると、人は労働時間のすべてをそこに費やします。
しかし、パラレルワークにおいては、そうはいきません。

8時間の労働時間をどう分配していくのか

日本人の労働時間は8時間です。
これは平均でも何でもなくて、法定労働時間ですから、守られているかは別としてこれが基準になります。
そして、本業を一本でやっている人はこの8時間のすべてを一つの仕事に割いて労働しているわけです。
しかし、パラレルワークでは違います。
これが副業であれば8時間プラス3ですとか、8時間にプラスする形になるのですが、複業、つまりパラレルワークだと基本的にこの8時間を分割します。
分配割合は自分で勘案するところですが、重要なのは、例えば等分したとして、その4時間に4時間分の仕事をして話にならないということです。
企業にとってみれば、複業を受け入れたとして、4時間分の労働力にしかならない人間の増加など望みません。
パラレルワークにおいては、この時間以上の価値が必要とされるのです。

足し算を掛け算にする能力

パラレルワークにおいて、4時間の労働を2社で行う事を足し算にしていては必要とされる人材とは言えないのです。
A社での4時間B社での4時間。
この本来であれば8時間にしかならない時間を、パラレルワークの強みを生かして互いにシナジーを起こし、掛け算にして16時間分の価値にできるかどうか、それが重要なのです。
A社で培ったスキルをB社のプロジェクトで生かす。
B社で重ねた経験をA社の業務の中で新しいアプローチとして披露する。
もしくは、A社B社の双方で手に入れたコネクションを互いに連結して、より大きなコミュニティーを作り出して新しい展望を両者に与える。
パラレルワークに対して企業が持っているもの、こういう働き方なのです。
確かに、それは企業の論理ということになります。
しかし、まだパラレルワークは社会で一般的ではありません。
いまはまだ、企業の論理を飲み込んで、そのうえで期待にこたえる活躍をしないと、パラレルワーカーとしてその働きが認知されるということにはならないのです。

安定しない身分をどう考えていくのか

パラレルワークというものが認知されていない世の中で、パラレルワーカーの身分は不安定なものになります。
その世界に飛び込む前に、きちんとそのあたりを知らなければいけません。

個人より肩書を優先する社会は残っている

欧米でパラレルワークが一般化した理由の一つに、その個人主義的考え方があります。
一流企業の社員も中小企業の社員も、公務員もフリーランスも、そしてパラレルワーカーも、仕事の外では同じ国民であり、その身分は個人に由来します。
しかし、日本ではそうはいきません。
クレジットカードの作成、ローンの申請、下手をするとちょっとしたポイントカードを作る時まで、あなたは申請用紙に会社名を書いているはずです。
そして、そこにはふつう1つの社名しか書くことはできません。
保険も普通は1社でしか適用されませんし、複数の企業が連携してそういった制度を立ち上げるなどという動きはまだありません。
すべては、一人が秘湯の会社に身分をゆだねるという風潮が今の社会を形作っているからです。
つまりそれは、日本においては、企業に所属しているというのが一つの身分保障であり、そこにパラレルワーカーは適用されていないということ。
パラレルワーカーとは、個人として多様な側面を持ち様々な性質を持つ人間のことです。
一面性しかない個人を個人として規定することさえよくできていない日本の社会において、多面性を持った個人を認定することがどれほど困難なのかは言うまでもありません。

変革する時代のつなぎ目をどう乗り切るか

もちろん、今後も日本がこのままということはないでしょう。
知識人の中には、日本は遅れている遅れていると連呼する人もいますが、歴史を紐解けばわかるように、この国の変わると決めて動き出した時のスピードは世界屈指です。
こんなの欧米では当たり前だ、とせっせとその方向を目指して、ふと気づくと欧米より進んでいたなどというのはよくあることなのです。
となれば、今はちょうどその時代の変化のつなぎ目にいるということ。
そんな中で、パラレルワーカーとして一体どのように社会的な身分を確保し生きていくのか、その方法はまだ模索中であるといえます。
しかし、言い換えれば、その新しさを模索していくことこそが、最もパラレルワーカーに必要とされる精神性。
むしろそれができるからこそ、パラレルワーカーとして働いていくことができるとさえいえるような、ある意味必携のスキルでもあるのです。
いまに対応し、そして変化に即応できる。
そんな自分の在り方を構築し、そして、新しい時代の到来を待ち構える準備ができるか。
ある意味、それこそが、パラレルワーカーとして生きる上でその仕事を続けていけるかの試金石になるといえるのです。

先駆者のメリットは先駆者のデメリットの先にある

ビットコインに学ぶ

2017年末、日本ではビットコインの話題が盛り上がりました。
中には、小さな元手で億の金を稼いだ人も出てくるなど、ビットコインに目を付けて儲かった人は、一身に羨望のまなざしを集めています。
しかし、彼らはただの幸運だった人ではありません。
よく宝くじに当たったようだといわれますが、彼らは断じて宝くじを当てた人たちではないのです。
まだ海の物とも山の物とも知れなかった仮想通貨というものに目を付け、社会のコンセンサスも実績も何もない、感覚的に実感しずらいそれについて大いに学び情報を集めた。
そして、多大なリスクを承知で、その道に踏み込んでいったからこそ彼らは大儲けができたのです。

先駆者のメリットを目指して

もちろん、パラレルワークをこなしパラレルワーカーとして生きることは、そこまでの大博打ではありません。
しかし、社会の先頭に立って道なき道を行くということと、整備され舗装され標識に守られた道を行くということが同じなわけはないのです。
そこにリスクはつきものです、その道は危険で当たり前なのです。
しかしその先には、誰も未だ見たことのない人跡未踏の平原が広がっています。その先にあるのは新しい時代という名の広大なフロンティアです。
だれよりも早くそこにたどり着き、そして先んじてその地の恩恵に浴する。
その先でパラレルワーカーを、その道を信じて突き進んだあなたを待っているのは、先駆者のメリット。
奪い合いが始まる前の財宝をゆっくりと品定めして持ち帰ることができるのは、先駆者のデメリットを超えてきたものだけだということを胸に刻んで、新しい時代に挑戦してみたいものですね。

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パラレルワーカー

肩書はCHROではありますが、基本はマーケティング全般や事業企画などが得意で過去には副業紹介サービス「プロの副業」も立上げました。

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