複業(パラレルワーク)

21世紀型キャリア形成。それはある意味人生そのものかもしれない。

働き方の自由度が進み、一言で職業という言葉が言えなくなりつつある昨今。
1人の労働者といて、そのキャリアを積み上げていくという意味そのものが変わりつつあるのを、皆さんもうすうすながらに感じ始めていることと思います。
そう、もはや、キャリアという画一的な言葉すら廃れつつあるといってもよいのです。
では、そんな21世紀のキャリアとはいったいどんなものになるのか、そして、そんなキャリアをどう積み上げていけばいいのか。
今回はそのあたりに迫ってみたいと思います。

キャリアとはいったい何なのか

まず、キャリアとは何かということを考えてみましょう。

20世紀型キャリアの概念は職歴

これまで、キャリアといえば、間違いなく積み重ねてきた仕事の経験でした。
証拠に、「あなたのキャリアを教えてください」と問われれば「商社に〇年勤めました」ですとか「海鮮の仕入れを〇年やっていました」と答えるはずですよね。
そうつまり、これまでのキャリアとはイコール職歴だったわけです。
そして、その内容に関して言えば、経験の質よりもその長さや一貫性が大きな価値を持っていたことは言うまでもありません。

日本人のキャリアという物を考える概念の中に「勤め上げる」という概念が価値観を持っていたのがその証拠です。
それはある意味、真面目に働いていようが不真面目に働いていようが、成果を出そうが出すまいが、同じところにじっと勤めていたことが評価されるようなもの。
まさにイギリス型の「転石苔を生さず」といったところですね。

21世紀型キャリアの概念はスキルの質と種類

しかし、終身雇用が崩れ、一つの企業が一人の労働者の人生を担保しなくなった現代にそれは通用しません。
ではそんな21世紀型のキャリアとはいったい何なのか、それは積み重ねてきた職歴ではなく、いわゆる技能、そうスキルの量と質にかかわってくるわけです。
ですからこれからの時代キャリアを聞かれて答えるのは職歴ではなく、その成果と手に入れたスキルの内容。
つまりその答えとは「IT企業に在籍しSEとして○○ができます」ですとか「ライターの傍ら商社で営業も経験し、文章の作成能力とコミュニケーション能力の両方を有しています」といった答えになるわけです。
それは短期間の勤務で数多くのスキルを身に着けた人間の方が、同じ企業に長くいる人間より評価されるということ。
20世紀型キャリアが、イギリス式の「転石苔を生さず」であるなら、こちらは間違いなくアメリカ式のそれだということができるでしょう。

人材力の個人回帰

つまりそれはどういうことかというと、人材としての能力の担保が企業から個人へと変わったということです。
これまでは有名な企業に勤めていることがキャリア的なステータスでしたが、これからは、いかに高等なスキルを身に着けているか、もしくは様々なスキルを持っているかという個人の資質がその担保となるわけです。
そう考えれば、これはある意味、人材力という物の考え方が、その基本に戻ったともいえます。
というのも、いわゆる戦後の日本の経済活動のひな型を作り上げた高度経済成長以前の日本においては、労働者はそれぞれのスキルを持つことが人材の価値をたもつ至上命題でした。
いわゆる「手に職を持つ」ということです。

それまでの日本では、いかに優れたスキルを個人が有しているか、もしくはお金になる技能をどれだけたくさん持っているかがその価値だったわけです。
その前提が、高度経済成長後の終身雇用・年功序列という価値観の前で崩壊したわけです。
そしてその崩壊が、もう一度、人材の価値を個人のスキルや技能に立ち返るきっかけとなっている。
それはある意味、日本独自にして世界に類を見ない特殊な環境が崩れ去り、当たり前のキャリアの形に戻ったというべきなのかもしれません。

21世紀型キャリア形成術

それではそんな時代の中で、21世紀型キャリアはいかにして作り上げていくべきなのか。
それは大まかに3パターンの道があると考えられます。

『一意専心』たった一つのハイスキルキャリア

まず最初は、ある意味いままでのキャリアの概念と似通っている、たった一つのハイスキルを目指す道です。
つまりそれはどういうことかと言えば、これまでのキャリアの価値観であった「勤め上げる」の上位互換ともいえる「磨き上げる」労働の形といってもいいでしょう。
具体的に言えば、ただ長く勤めるのではなく、一つの仕事に専念することで、その仕事において高いレベルでのスキルを獲得していくという働き方です。

多くのスキルを身に着けるのではなく一つのスキルをブラッシュアップし続ける。
簡単な道のりではないですが、その分野において右に出るものがないほどの能力が身に付けば、キャリア的価値としては相当に高いものとなるでしょう。
もちろん、ただそこに長く働いている、というのではお話になりませんよ。

『多種多芸』様々なスキルをシナジーさせる

そして、次に選ぶべき道は、様々なスキルを有していくという生き方です。
しかしそれは、いわゆる資格ゲッターのような、意味もなく多くのスキルや技能、資格や認定を身に着けるという物ではありません。
あくまで、自己価値を高めるという点においてのスキル取得を目指していくのです。
それはどういうことかといえば、たとえば副業などを行う事によって本業とは違うスキルを身に着け、そして「そのスキルが本業のスキルの底上げや向上につながる」スキルの身に着け方をするということです。
これはいわゆるパラレルワークという意味での複業を行う事で、それぞれの仕事にシナジーをもたらすやり方であるともいえます。

たとえば、営業職を行いながらSEの仕事をこなしスキルを身に着けることで、販路拡大に効果が出るなどです。
もしくは、もっと身近な観点から言うと、スーパーの販売委員として働きながらイラストレーターをこなすことで、店内のポップやチラシの作成に、ほかの人にはない付加価値を持った効果をもたらすというのもそうでしょう。
つまり陳列して並べるスキルではなく、それぞれがそれぞれに影響しシナジーをもたらすスキルの獲得。
そんな目的で獲得したスキルたちが、スキルの持ち主の価値絵おあげるというのは、むしろ言及するまでもないことです。

『独立独歩』たった一つ欲しいキャリアは充実した人生

そして最後にご紹介するのは、今までのキャリアの概念にはないキャリア「充実した人生」を手に入れる生き方です。
つまりそれは、社会やビジネスの場、もしくは人材市場における自らの価値を高める旧来のキャリアの概念を捨てて、いかに自分にとって価値ある人生を生き、そしてそんな人生をキャリアとできるかという生き方。
言うなれば、個人の充実が金銭によらないという生き方だといってもいいでしょう。
それは、お金のために副業をするのではなく、生活の安定のためにパラレルワーカーになるのでもなく、自分が正しいと思う生き方を選んでいくということ。
ある意味パラレルワーカー的な生き方ともいえるその生き方は、いま着実にその数を増やしています。
たとえば、田舎でゆっくりと農業をしたいがために、リモートで働けるライターとしてフリーランスに近い働き方を選ぶ人などがそうです。

自分の理想を掲げてNGOやNPOで活動するために、仕事の量を極限まで減らす人もいます。
これは海外では少なくない事例ですが、一定の期間働いてお金をため、そしてお金がたまると世界中を旅してまわるというような生き方をする人もいるのです。
IT企業の取締役をしながら、自分の夢をかなえるためにお笑い芸人になった厚切りジェイソンさんもこのパターンといえるかもしれません。
たった一つのかけがえのない自分の人生を輝かせることが唯一絶対のキャリア。
そういう生き方も、あるのです。

選択肢があるということのありがたさ

もちろん上で出した例は、数多くあるキャリアの考え方の代表例でしかありません。
当然、他にもいろんなキャリアに対する考え方があり、自分の価値観と信念に基づいて、どんなキャリアの方向性を選んでもいいのです。
しかし、大事なことは、働き方の自由度が増えその形態が多様化したことで、キャリアに選択肢ができたということ。
つまり、社会全体が画一的なキャリアの概念にとらわれ、その概念に沿っていればセミオートでハイキャリアに至るということも、その概念から逸脱したらどうあがいてもキャリア上で評価されないことも、もうないということです。
それはある意味、あなたの人生の価値をあなたが決めてもいいということ。
ひとつの企業に専念して生涯勤めあげてもいい、副業をもって様々なキャリアを手に入れても、パラレルワーカーになってもフリーランサーでも独立起業してもいい。

もちろん、今現在の段階では、旧態依然とした価値観によって、様々な圧力がかかることもあるでしょう。
現に、日本の企業において副業を完全に解禁している企業はまだ物足りないレベルですし、フリーライターやフリーイラストレーターは職務質問されれば「無職」と書かれてしまう現実はあります。
しかし、そんな現実に立ち向かって抗うのも、様子を見てとどまるのも、また流されて従うのも自由なのです。
その歩みが遅いのか早いのかは個人の価値観でしかありませんが、間違いなく「キャリア=職歴」だった時代から「キャリ=人生」へと価値観はシフトしています。
あなたがどんなキャリアを目指し、何をキャリアと考えるのか。
21世紀型のキャリアとはある意味、あなただけのそれをあなたがこれから決めていくものだといっても、よいのかもしれませんね。

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