最近大手企業で副業を解禁する企業が増えてきました。
もちろんそこには、国が国策として働きかた改革を進める中で副業を推進している背景もあるでしょうが、もちろんそれだけではありません。
ではなぜ副業解禁の方向に大企業は進んでいるのでしょうか。
そして、そんな社会においてパラレルワーカーとして生きるためにはどうしたらいいのでしょうか。
今回はそんな、これからの社会を生きるパラレルワーカーの最初の一歩に迫ってみます。
大企業は副業解禁に向かっている。
現在様々な企業、特に大企業といわれる企業は副業解禁に向かっています。
先ほども書きましたが、それは国策に準ずるという意味もあるでしょうが、もちろん国策がどうあれ利益がなければ企業は動きません。
それではなぜ今大企業は副業解禁に向かっているのか。
その理由に迫ってみましょう。
少子高齢化により人手不足を見込んでいる。
大企業は、その商売相手が国内だけとは限りません。
そこで、そんな多国籍企業とかグローバル企業といわれる会社において今一番深刻な懸念というのは少子高齢化による人手不足でしょう。
これが、国内だけのドメスティックな中小企業であればそうでもありません。
日本の人口が減れば比例して需要も減るのですから、大手企業に下請けでない限り問題ではないのです。
しかし、世界を相手にする大手企業にとって国内の人手不足はいわゆる企業の基幹部分の人手不足になります。
その時、母体を海外に移転するなどの大手術をしないのであれば、基幹部分の人手不足は、同時に世界での競争力の低下を意味します。
そんな時代ですから、大企業は副業を解禁することによって人材のシェアを目指しているのです。
限られた人材をどう確保するのか、それは大企業にとっても大きな課題となっているのです。
人材の流出を恐れている
限られた人材の確保という点では、その流出防止というのも大きなカギになります。
少子高齢化を待たずとも、現在日本の終身雇用制が崩れている現状においては、人材の流動性の高まりというのは企業努力でどうにかなるものではありません。
入社してから企業が退職まで守ってくれないという現状は、労働者だけに負担を強いているものではないのです。
入社してからその育成と教育にコストをかけて、成長してこれからというときによそに転職してしまうという状況は、企業にとても大ダメージです。
とはいえ、この現代社会で終身雇用年功序列を復活させるわけにはいきません。
となれば、副業を容認してより良い条件の会社“にも”籍を置けるような状況を作り出すことで、企業は人材の流出に歯止めをかけることができます。
ある意味副業の容認というのは、企業の生き残り戦略であり、その最先端にある大企業にとっては、すでに着手すべき事柄だといえるのです。
それは企業と労働者の両者にWin×Winであるということ。
もちろんそれが企業の論理で、労働者にとって好ましくないのであれば問題です。
しかし、この状況は当然労働者にとっても大きな利益となります。
ここでは、副業の解禁が労働者にもたらす利益について考えていきましょう。
ベーシックインカムと保険
現在、社会情勢は刻一刻と変化し、経済状況の先行きも不透明です。
そんな中、たとえ企業の方でずっといてほしいと思っていたとしても、その企業自体がなくなる可能性も考えれば、労働者にとって転ばぬ先の杖は必要。
それが、副業となります。
つまり、現在働いている企業を生活の基点としての収入を得るベーシックインカムとして確保し、副業で働く企業をベーシックインカムが途絶えた場合の保険とするという考え方です。
これにより、先行き不安定な経済状況でもいきなり無収入になるような事態は避けられるのです。
起業という選択肢
また副業解禁によって、起業という選択肢が見えてくる場合もあります。
日本では、勤めている企業を退職して、無職になってから起業することが現在当たり前の状況ですが、それが日本の起業文化の妨げになっているのは想像に難くありません。
初期の回転資金や収入を考えれば、いま勤めている企業に所属したまま起業できれば随分と起業は楽になります。
もし副業が解禁となれば、この企業に関しても当然副業扱いになりますから、将来一国一城の主を目指している人にとってはこんなにありがたい話はないはずなのです。
また、企業にとっても、その新しくできたベンチャーは自分の会社との同業他社になる可能性が高いわけです。
とはいえ、いきなりライバルになるほどの企業となる可能性は限りなく小さく、もしかすると取引先となるチャンスも生まれます、また、業界の発展はマクロで考えれば間違いなくプラスです。
このように副業の解禁は、企業にとっても労働者にとてもプラスとなるはずなのです。
ではなぜ中小企業でその動きは起きないのか
大企業の副業解禁と、労働者にとっての利点。
それを考えれば、中小企業もまた副業解禁を推奨してもおかしくない現状がそこにはあるはずです。
しかしながらその動きはとても鈍く、一向に進んでいないのが現状です。
では、それはなぜなのか、ここではその謎に迫ってみたいと思います。
旧態依然とした価値観でも今のところやれている。
一番はやはり価値観です。
副業をやれば本業がおろそかになるに違いない、ですとか、情報漏洩が怖い、といったわかりやすいスローガンがそこには存在します。
もちろんその懸念がないとは言いませんが、それは、システムの変更でどうとでもなる話。
しかもそのシステムの変更も、巨大な設備投資のいる変更ではなく、ほとんど投資の必要のない変更で済む話のはずです。
しかし、マインド、つまり意識を変えるというのは金銭でも論理でもありません。
しかも、そのマインドを持っていても、いまのところ問題なく表面上は会社が存続しているとしたら、そのマインドを変えてまで変革しようとする企業は少ないでしょう。
しかし、ここが変わらなければ、何も変わってはいかないのです。
そして変わらずにいても大丈夫な時代が、いつまでも続くはずもないのです。
人材に関する感覚が薄い
中小企業においては、人材というものを単にマンパワーと考えている企業が多いのも現実です。
つまりそこに存在するスキルや経験というものを考慮せず、一人分の労働力としてしか考えていないため、やめれば雇えばいいという意識が根底にあるのです。
それは、単純労働が労働の基本だったかつてのイメージの産物です。
しかし、それは、現代のスキルを有した人間が圧倒的に生産力を変えてしまう時代にはそぐわない考え方であるのは言うまでもありません。
人材の確保に危機感がなく。人材の流出が怖くない。
これでは、副業解禁に至るはずがありません。
企業を変えるのは労働者だということ
いかがでしたか。
つまり、中小企業までに副業解禁を進めていくには、副業解禁が中小企業にとっても圧倒的にメリットであることが浸透しなければいけないわけです。
では、それをだれがするべきなのか。
国なのか、それとも取引先の大企業なのか、マスコミなのか、社会なのか。
違います、それはそんな企業で働く労働者、つまり副業を考えているパラレルワーカーの卵である労働者です。
副業を禁じている会社で、副業をすることを宣言してみましょう。
人事に赴いて、なぜ副業が禁止なのか、どうして副業できないのか、本当にそのリスクは存在しているのか話し合いの場を持ってもいいでしょう。
もちろん、それは簡単ではありません。
しかし、そうでもなければ、この不安定な社会において、あなたはその旧態依然とした会社とともに心中を図ることになりかねません。
そこを飛び出すのも一つの手です。
そんな人が増えれば、中小企業だって副業解禁をせざるを得なくなるからです。
すべてがなくなって、無収入になったその時に「だからあんな古臭い会社はダメなんだ」と、はいても一銭にもならない愚痴をはくような事態になる前に。
動き出すのは、いまかもしれませんよ。
パラレルワーカー
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