・新規事業を起ち上げたいけど、手元資金に余裕がない
・ピボットせざるを得ないけど、新たな投資家のあてがない
・どうやって資金調達すればいいかわからない
個人経営や小企業などでは経営者自身が行うことの多い資金調達業務ですが、時間と労力がかかり、さらに専門性も高く、頭を悩ませている経営者が多いのが現状です。
この悩みの種である資金調達業務、実は代行サービスがあり、外注できることをご存じでしょうか。
こちらも参考:CFOの代行サービスとは?おすすめ法人・更にコストを抑える方法の紹介
資金調達の代行サービスとは
資金調達の方法は多々ありますが、ざっくり分けると下記の3種類になります。
・アセットファイナンス・・・資産「売却」による資金調達
・エクイティファイナンス・・・「出資」を受ける資金調達
・デットファイナンス・・・借り入れや債権発行等による「融資」
それぞれ、会社のステージや財務状況に応じて最適な資金調達を選ぶ必要があります。
この資金調達に必要な一連の業務を代わりに行い、資金調達を成功させることが資金調達代行サービスになります。
資金調達ニーズはあるが実行には壁がある
いずれの資金調達方法でも、煩雑な手続きや法令の確認、および出資者との駆け引きや交渉を行わなければなりません。このような資金調達業務は、比較的大きい企業であれば、社長直下の専門チームや、社長自ら関わることが多いです。
しかし、会社の行末を左右しかねない分野であるにも関わらず、資金調達の煩雑さゆえに、外部からの資金調達を選択肢にも入れていなかったり、会社の手元資金のみで経営することが正しい経営であると考えている企業が多いのも事実。
特にベンチャーやスタートアップなどは、中小企業よりもはるかに資金調達ニーズがあるにも関わらず、リソースの少なさゆえに最初の出資者とのリレーションのみに縛られることで、逆に自ら経営リスクを抱え込んでしまっているケースも。
実際、「ベンチャー白書2018」に寄れば、ベンチャー企業153社のうち、VCから資金調達を受けたのは91社と、半数以上のベンチャー企業が資金調達ニーズがあるのに出来ていないことが浮き彫りになっています。
参考:http://www.vec.or.jp/wordpress/wp-content/files/2018.pdf
資金調達の依頼~実行までの流れ
資金調達の依頼から資金調達完了までの流れは以下のようになります。
1.資金調達代行依頼先選定
2.資金調達方法の選定
3.必要書類の作成・提出
4.ヒアリング及び面談
5.資金調達元での融資審査
6.結果判定と投資
自社のニーズに合った資金調達代行依頼先を決めたら、面談などにより、どの資金調達方法にするかを決定します。資金調達方法を決めたら、資金調達代行業者が申請に必要な書類を準備・作成し、提出します。
その後資金調達代行業者と資金調達元(銀行や自治体など)の間で面談やヒアリングを繰り返しながら、投資先である自社の事業情報や経営者情報、将来性などの情報を収集していきます。
一定量の情報が得られたら、資金調達元で融資審査を行います。この融資審査に通れば、晴れて資金を手にすることになります。
資金調達代行サービスを利用した企業例
では実際に、どのようなケースで資金調達代行サービスを利用するのでしょうか。実際に海外への事業展開で資金調達代行サービスを利用した飲食店のケースを紹介します。
・資金ニーズ:海外への事業展開のため3000万円
・経緯:金融機関・日本政策金融公庫に断られている
経営者自身での資金調達に限界を感じたため、2つの融資先から断られた状態で資金調達代行サービスを依頼しました。
代行者が改めて企業分析を行い、財務資料の修正、融資内容に沿った形の事業計画書を作成、財務分析資料を作成し、日本政策金融公庫での面談を行います。
その後経営者も交えて面談を行い、現在の財務状況のみならず、数年で企業規模を拡大し利益を上げてきた経営実績を買われ、3,000万円の融資を受けることになりました。
資金調達を代行してもらうメリット
多くの企業、特に規模の小さな企業での利用が多く見られる資金調達の代行。
労力や時間の節約以外にも、資金調達を代行してもらうことには以下の6つのメリットがあります。
1.資金調達コストの削減
2.急な資金需要への対応が可能
3.事業分野へのリソースの集中が可能
4.財務コンサルティングを受けられる
5.ノウハウが吸収でき、次に活かせる
6.ストックオプション・生株の温存
自社でCFOまたは財務・経理責任者の育成・維持コストの削減
資金調達は経験や知識のない社員には困難な仕事であり、一般的には「CFO(最高財務責任者)」や「財務・経理責任者」の業務です。
しかし責任者と名の付くポジションの人材を育て上げるには、知識やノウハウだけでなく、経験も必要です。
未経験者を責任者にまで育成するには時間もコストもかかります。
そのため規模の小さい企業では、CFOや財務・経理責任者を置かずに、育成・維持コストを削減する目的で、資金調達代行サービスを利用するケースがあります。
急な需要に対応してもらえる
計画的に準備をしていたというケースであればさほど「速さ」にこだわりはないかもしれません。
しかし、資金調達業務で時間が限られている場合や、競合他社を意識し、早く資金を調達しなければプロジェクト自体がうまくいかない場合もあります。
特に補助金や助成金を申請する場合には書類の提出期限が決められており、スケジュールもタイトになりがちです。
普通に審査のための書類をそろえようとすると数か月程をかかるのが普通ですが、急を要するケースにおいても、プロである資金調達代行サービスを利用すると間に合うケースがあります。
事業など財務以外の分野にリソースを集中できる
個人事業を営んでいるケースなどでは、複数の業務を1人が担っているケースもあります。
飲食店を店主として切り盛りしている経営者が店舗拡大の資金調達の面談のために店を休むなどといったことは避けたいものです。資金調達に力や時間を注ぐあまり、事業経営や顧客対応がおろそかになっては元も子もありませんよね。
資金調達業務の代行によって、本来の自分の業務に時間や労力などのリソースを集中できるというメリットがあります。
財務状況のコンサルをしてもらえる
これまで1人で経営をしてきたケースや家族内経営をしている企業に特に多いのが「財務状況の不健全性に気づけない」というケースです。
資金調達の際に財務状況を調べてみたら思いのほか良くなく、どうしようか考えあぐねている経営者も多いです。資金調達をする際には財務状況や経営方針、あるいは企業の方向性や将来性などを精査する必要があります。
そのため資金調達代行サービスを依頼すると、現在の財務状況が健全かどうかの判断や、方向性が間違っていないかなどについてもアドバイスをしてもらえることがあります。
プロである第三者の目から見た財務コンサルティングは、大きな費用対効果をもたらしてくれるでしょう。
なお、依頼する代行者によっては、コンサルティングができないこともありますので、コンサルティングや金銭関係の相談をしたいと思う場合には代行者の選定時に確認しておく必要があります。
また税理士の資格を持った代行者であれば、節税対策などについての相談にも乗ってくれます。フリーランスで資金調達代行業務を受けている人の中にも、税理士資格を持った人がいますので、そのような代行者を選んで依頼をすると良いでしょう。
今後同じ資金調達時に自分で対応できる
公的な機関からの資金調達であれば、VCのように属人的な交渉や駆け引きの必要がなく、再現性が高い方法と言えるでしょう。
よって、代行サービスを利用し、一連の手続きを見ていれば、次に同じ資金調達を行う場合は代行サービス抜きで自分で資金調達が可能になるメリットがあります。
創業時CFO候補へのストックオプションまたは生株の温存
CFOは会社の存続にとって大きな責任があるポジションです。さらに業務の専門性とも相まって、CFO就任を依頼する際にはストックオプションや生株を与えるなど、特別な待遇をしている企業が多いでしょう。
創業時にはまだ企業として名が知れていませんから、素晴らしい経歴・スキルを持つCFOが自ら来てくれることはほとんどありません。「株をあげてでも自社にいてもらいたい」と思うようなCFO候補は、企業が軌道に乗り始めてから見つかることのほうが多いのです。
そのため創業時、あるいは創業から間もない企業の資金調達には、CFOの代わりに代行業者を利用すれば、後々CFOとなる人が見つかるまでストックオプションや生株を温存することができます。
資金調達を代行してもらうデメリット
たくさんのメリットがある資金調達の代行利用ですが、メリットばかりに目が行っていると、代行を依頼したものの期待した成果が得られないということも考えられます。
メリット共にデメリットを頭に入れて、代行依頼をするかどうかを決める必要があります。
一般的に、資金調達業務を代行することによるデメリットは以下の3つです。
1.自社でCFO候補や経理責任者が育たなくなる可能性がある
2.法人に依頼した場合、費用が折り合わないことがある
3.臨機応変な対応をしてもらえない可能性がある
CFO候補・財務責任者の育成が進まなくなりやすい
CFOや財務責任者というのは、知識だけではどうにもなりません。
実際に融資先と折衝や、手続きを行うことによって経験を積み、失敗や成功を重ねながら人材育成が進むのです。
事業が軌道に乗ってきたにもかかわらず、CFO候補・財務責任者を置かないまま資金調達代行を利用していると、社内人材が育たないことになります。この状態は企業として危険です。
健全なビジネスモデルで企業を運用し、事業にリソースを十分に投下していれば、企業規模は大きくなるはずです。
人事労務や財務は、製造部門のようにお金を作り出すような性質の部署ではありませんが、企業を運営し働く人をサポートするためには必要不可欠な部署。
スタートアップの時期やベンチャー企業であれば「人事労務や財務にはリソースを極力割きたくない」というのもわかりますが、適切な時期に自社人材を育成していくよう、事業計画に盛り込む必要があります。
資金調達の代行費用が高い法人もある
資金調達代行費用は、自社にCFO候補を招くよりは安いことが多いのですが、その価格は代行依頼先によって異なります。
一般的に資金代行実務経験者や、税理士・公認会計士の資格を持つ個人に直接依頼するケースでは安く、代行を専門とする企業や法人(税理士事務所や公認会計士事務所)に依頼すると高くなる傾向にあります。
また「費用が高額=スキルが高い」とも言えないため、代行料金やスキルが自社にマッチするかどうかも重要なポイントとなります。
代行料金がパッケージ化されている場合が多い
資金調達の代行法人の料金が高いケースには特徴があります。代行業務だけではなく、コンサルティングや書籍代行費、月々の財務状況のトラッキングや戦略の立案など、様々な業務が、資金調達代行費用の中にパッケージ化されているケースが多いのです。
資金調達の代行だけを依頼したいのに、既にパッケージ化されていて必要のない内容を省くことができないのはデメリットです。
資金調達の外部委託はこんな企業におすすめ
資金調達業務を代行してもらうのは上記のようなデメリットもありますので、利用の際にはしっかりと事業計画と照らし合わせながら検討する必要があります。
1.CFO・財務責任者を雇用しても維持する資金力がないスタートアップやベンチャー
2.今すぐに資金調達が必要だが、何をしていいかわからない起業時
3.なるべく事業にリソースを割きたい創業時
4.生株やストックオプションはなるべくとっておきたい雇用主
5.社内のCFO・財務責任者候補を育てたいが、育てる方法がわからない雇用主
メリットとデメリットを鑑(かんが)みると、上記の5つの特徴のどれかに当てはまる企業であれば、検討してみる価値が高いサービスといえるでしょう。
しかし依頼すると費用が高くつく場合もあれば、経営者が望むような臨機応変な対応がしてもらえない場合もあるのが事実です。
そのため、起業時やスタートアップ、ベンチャー、小企業など「安価で柔軟な対応を求めたい」という場合には、法人以外での代行依頼をおすすめします。
資金調達の代行サービスは高額になりやすい
資金調達の代行サービスを利用する際の最大のネックは、代行金額の高さに由来します。
料金が高額になる理由として「代行依頼料以外の料金」「パッケージ化されている不要な作業の代金」という2点があげられ、特に法人に依頼する場合には顕著です。
資金調達代行法人の多くは税理士事務所や公認会計士事務所ですが、「事務所」と呼んでいますが「法人」ですから、働いている税理士や公認会計士はサラリーマン同様、月給制で仕事をしています。
クライアント対応をしている会計士も、待機中の会計士も、同じように給与が発生しているのです。
そのため、依頼料にはいつでも依頼を受けられるように、複数の会計士を雇い続けるために必要な「維持費」が上乗せされています。
法人に依頼すると、純粋な資金調達代行料金だけでなく、事務所を運営していくうえでの必要経費を合わせて支払っていることになるのです。
この上乗せ分の必要経費が、法人に依頼した場合に高額になりやすい理由です。
この運営経費の上乗せは、広告代理店や弁護士事務所などでも同様のシステムであり、資金調達代行業者特有の事情ではありません。
資金調達のプロに代行してもらうという選択肢
では、最もコストパフォーマンスの良い代行依頼方法はどのようなものなのでしょうか。
前述の「代行依頼料以外の料金」「パッケージ化されている不要な作業の代金」という2つのポイントから、資金調達代行費用を下げる方法としては以下の2通りが考えられます。
1.代行料金のみを支払う
2.自社に合わせたone to oneの依頼をする
この2つの方法を合わせた形で代行を依頼する方法が、最もコストパフォーマンスの良い資金調達代行依頼といえるでしょう。
しかし「代行料金のみの支払い」「自社に合わせたone to oneの依頼を受けてくれる」という条件を満たすような、資金調達代行方法はあるのでしょうか。
プロ人材や元CFOの副業者を利用する
これまで上げてきたデメリットは「法人に資金調達代行を依頼した場合」に発生するものです。
「法人である」「利便性」というメリットも大きいですが、スタートアップやベンチャー企業など、事業自体にリソースを集中させたい状況においては、「代行依頼料以外の料金」「不要な作業の料金」の支払いは避けたいものです。
「代行料金のみの支払い」「自社に合わせたone to oneの依頼を受けてくれる」という2つの条件を満たす資金調達代行先として、プロ人材や元CFOの副業といった「個人」に代行する方法もあります。
個人への依頼であれば、先に述べたような事務所の運営・他の雇用者の維持費などの余分なコストが料金に含まれることはありませんし、依頼前に自社の希望を伝えながら柔軟な対応をお願いすることも可能です。
しかし法人に依頼する場合と違って、個人に依頼する場合には以下3つの懸念点が出てきます。
1.依頼する個人がこちらの要求するスキルを満たしているのか
2.企業の根幹を担う業務を任せられるほどの信頼のおける人物なのか
3.条件や役務の交渉に時間や労力がかかるのではないか
CFOの代わりに業務を行う人物ですから、「スキル」「信頼度」は十分に担保されている必要があります。
また、資金調達を代行する理由として「かかる労力の削減」がありますから、資金調達代行者の条件や役務の交渉に時間や労力をかけているのでは本末転倒です。
3つの懸念点をうまく解消できる方法として、プロ人材の為の本業スキルを活かした副業紹介サービスの利用があります。
そのようなサービスの一つである「プロの副業」では、エージェントが、「企業」と「正規社員として正規雇用すると非常にコストのかかるような希少価値のあるプロ人材」を繋いでくれます。
エージェント側でスキルチェックや信頼度のチェックをしており、さらに企業の情報や悩みを共有しているため担当エージェントが条件や役務に合った、マッチング度の高い人材を紹介してくれます。
「プロの副業」では相談を無料で受け付けていますので、資金調達代行先で悩んでいる場合には、一度相談してみることをお勧めします。
資金調達代行は便利だが依頼先の選定は慎重に
資金調達を行うには大きな労力と時間がかかるため、代行業者・個人の利用には一定のメリットがあります。
代行できるとはいえ本来であればCFOの業務であり、企業の根幹を担う大きな責任を負った業務であることに違いはありません。
ぜひ依頼先の選定の際には「企業・法人としてのネームバリュー」だけでなく、代行者のスキルや柔軟性、さらに自社とのマッチング度を重視したいものです。
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