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起業を考えている人が知っておきたい意味と現実

起業という言葉は世の中でよく耳にするようになりました。独立して起業するというフレーズで語られることが多く、企業で働いていた人が退職して自分で事業を展開するようになることを意味しています。
起業するという言葉自体の意味は新しい事業を立ち上げることです。必ずしも独立する必要はなく、企業に勤めながら副業として起業することもできます。
ただ、実際には起業するには大きな苦労を伴う場合が多いので、現実的には退職して独立しないと難しいのが通例です。

起業するのは誰でもできるのかというのもよく話題になりますが、基本的には誰でも可能です。

特定の仕事をするためには資格が必要になる場合もあります。
クリニックで医療行為をしようとしたら医師免許が必要であり、飲食店を開いて料理や飲み物を提供するのなら食品衛生責任者が必須です。
法律事務所なら弁護士資格、会計事務所なら公認会計士といった形で業種によって必要な資格を持っている職種の人を確保しなければなりません。
しかし、必ずしも起業する人が自分で資格を持っている必要はありません。クリニックの経営者になって医師を雇用して医療行為を行ってもらうという形で営業するのは問題ないからです。そのため、起業するのに資格は特に必要なく、行いたい事業を実現するために必要な人材を確保できれば良いということになります。

ただし、実際には行政手続きを行う必要はあります。起業して事業を展開していくときには大まかには二通りの方法から選ぶことが可能です。

一つ目が個人事業主となる方法であり、この場合には開業届を提出するだけで起業できます。もう一つは法人として起業する方法で、やや手続きは複雑になるので気をつけなければなりません。

ただ一通の届け出を提出すれば良いわけではないからです。典型的には必要な印鑑と定款を作成して認証を受けます。
そして登記を行った後、法人設立届を提出するという流れが基本です。
他にも必要に応じて提出しなければならない書類は多く、事業を始める前にはかなり書類の準備に追われることになります。
また、開業届を提出するだけの個人事業主の場合には起業のための行政手続きには費用がかかりません。しかし、会社設立の場合には定款認証や登記に費用がかかります。

それなら個人事業主として起業した方が良いのではないかと考える人もいますが、会社を設立するメリットもあるのでどちらが良いかはよく考えなければなりません。社会的立場として事業主の信用度が高いのは会社という傾向があります。
基本的には資本金も大きくて従業員数も多く、基盤がしっかりとしているというイメージを与えられるからです。また、会社にも株式会社、合同会社、社団法人、財団法人、NPO法人などがありますが、株式会社なら資金調達のために株式を発行することができます。一方、法人になると個人事業主とは税金のあり方が異なるのも特徴です。個人事業主の場合には事業所得に基づいて所得税と住民税を納めることになりますが、法人の場合には法人税と住民税になります。所得に対する税率のあり方が大きく異なるため、特に事業所得が大きくなった場合には法人の方が税額が少なくて済むようになるでしょう。それに加えて節税につながる制度が多数あることから工夫次第で税金を減らして利益を大きくできる可能性も秘めているのが会社設立をするメリットです。

個人事業主と会社のどちらを選ぶかはケースバイケースであり、事業の計画に応じて選ぶことが重要になります。

そもそもどのような事業を行うのかを決めなければ起業することはできません。起業を考えたらまずは何を事業にし、どのような根拠で利益を上げられると想定できるのかを明確にするのが大切です。
起業したら事業利益によって生計を立てなければなりません。
ただやりたいことをビジネスにすると考えていても、お金を出して商品やサービスを購入してくれる消費者がいなければ利益が上がらず、ランニングコストによって赤字になって倒産するということになります。自己満足のために事業内容を考えるのも大切ですが、より重要なのは消費者の視点でニーズを捉えて事業にすることです。
確かに利益につながりそうなビジネスモデルを想定することができたら起業に向かって進んでいけるようになります。
机上で考えていても利益が上がりそうもないというときにはまだ事業案を練っておいた方が無難であり、それが原因で起業してすぐに倒産してしまっているケースも少なくありません。特に既存の業界に新しく事業を立ち上げて参入するときには他との競争に勝たなければならないので、差別化を図るなどの工夫も必要になります。起業してから考えていては遅いと考えて、様々シチュエーションを想定してどのような対策で利益をもたらせるように事業を展開できるかと熟考しておくのが安全策です。
起業するときには事業計画を定めるだけでは不十分であり、資金と人材を確保することも必要になります。個人事業主で自分だけで仕事ができるのであれば人材は確保する必要がありませんが、資金を工面しなければ何もできないのが基本です。

事業資金の調達には自己資金を使用しますが、それに加えて助成金、補助金、融資を活用するのが一般的な方法になっています。

助成金や補助金は国や地方公共団体などの各種団体、さらには企業からも提供されている資金です。助成金は一定の条件を満たしているときに申請すると定められた金額を支給してもらえるようになっています。それに対して補助金は条件を満たしているときに応募可能になっていて、審査を受けて対象となったときに支給を受けられるのが基本的な仕組みです。助成金も補助金も支給されたお金を返済する必要はありません。ただし、制度によって定められている使途にしか利用することができない形になっているので事業資金としては自由度が低くなっています。エネルギー産業や介護事業、ものづくりに関する事業などのように社会的に必要とされていたり、国や団体が精力的に発展を押し進めようとしていたりする分野ではこのような資金調達が行いやすいのが一般的です。また、人材雇用の際には障害者や高齢者などの勤め先を探すのに困難がある人たちを雇用することで助成金を受けられる場合もあります。このため、起業のための資金が足りない場合には事業分野や雇用する人材を考え直すことで調達できるようになる可能性があるのです。


一方、融資についてはもっと選択肢が広くなり、借りたお金の使途も事業全般に利用できる傾向があります。

日本政策金融公庫による創業融資や信用保証協会の制度融資、銀行などの金融機関が行っているプロパー融資を利用するケースが多くなっていますが、これ以外にも融資を受ける方法があるので検討することが大切です。

大きな利益を上げられるかもしれないという期待があると個人投資家やベンチャーキャピタルから出資を受けられる場合もあります。また、クラウドファンディングを使って大勢の投資家から資金の融資を募ることも可能です。

融資を受けるときには事業計画書を基本資料として、事業がいかにして利益を上げられるポテンシャルを持っているかを説明することが求められます。それによって返済能力が十分にあると認められると融資が決定し、その事業への期待度に見合った形で融資額や金利が決まるのが通例です。融資は必ず返済しなければならないものであり、長期的な借り入れをすると返済額は利息によって莫大にならざるを得ません。最小限にするのが基本ですが、運転資金が十分にないと開業はできても事業を展開できずに立ち往生してしまうことになります。そのバランスを考えていくら開業資金が必要になるかを試算することも必須です。その目的で起業支援事業のサポートを受けたり、士業を営んでいる専門家に相談したりすることも多くなっています。また、融資というと大げさに感じられてしまう場合もありますが、両親や兄弟姉妹、あるいは友人からお金を借りて開業資金にすることも可能です。国や銀行などから融資を受けるよりも金利が少なくて済むことは多いものの、返済できないと人間関係でトラブルが生じてしまうリスクもあるので気をつけなければなりません。

開業資金が具体的にどの程度必要になるかはケースバイケースです。

店舗を用意して販売業を営む場合には物件を借りて設備工事を入れ、内装をデザインして什器も入れるといった形でかなりの資金が必要になります。オフィスを用意する場合にも同様ですが、自宅で仕事ができる事業であれば新たに物件を用意しなくて良いので費用は大幅に抑えられるでしょう。事業を行うために資材の仕入れが必要な場合には、その種類と量によって開業資金の必要性に大きな違いが生じます。また、開業資金を考えるときには当面は赤字になるという想定をしておき、しばらくのランニングコストをまかなえるように資金を用意しておくことも肝心です。特に従業員を雇うときには人件費だけでもかなりの金額になってしまうので、余裕を持って融資を受けておく必要が生じます。この他にも開業してから消費者に着目してもらえるようにするには知名度を上げる必要があるため、宣伝広告費も用意しなければなりません。数え上げていくと必要になる費用は無数にあるので全体でいくらになるかを細かく計算しておくのが肝心です。

まとめ

このようにして事業計画とそれに応じた資金や人材の獲得ができ、店舗などの必要なインフラを整えられたら開業して事業を動かし始めることができます。起業を思い立ってから開始するまでに一年以上もかかる場合もありますが、事業は開始するタイミングも重要なので手際良く進めていくように心がけなければなりません。周到な準備を迅速に行うのが開業をして成功するためには欠かせないのです。

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