副業とはなにか?副業と複業の違いを様々な角度から比較
どちらも読みは「フクギョウ」でしかも似たような概念だと思われているため、両者の違いについてはっきりしない人は多いのではないでしょうか。
そこで今回は、副業と複業の違いについて、様々な角度から比較し、違いをはっきりと解説していきます。どちらが自分に合っているか、自分のキャリアを考えるとどっちが得なのか、知りたい方は読み進めてください。
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副業とは?
「副業」という言葉での検索数は9年前に比べるとほぼ4倍になっており、収入源として一般的になりつつあります。
副業とは、収入を得る目的で行っている本業の他に従事している仕事のこと。
何か主たる収入源、つまり本業がありそのほかにも何らかの収入源がある時、そのプラスアルファの職業のことを言います。
ダブルワークや兼業といった類似している言葉もありますが、副業は本業がある人が、本質的に関連性のない仕事を行って稼ぐ行為のことを示します。
ダブルワークは状態を表す言葉
ダブルワークは本業と副業をすることを意味する場合が多く、しばしば常勤勤務で仕事に従事していない人が二つのアルバイトを掛け持つという意味でも用いる言葉です。
兼業と副業はニュアンスが異なる
また、兼業については副業と少しニュアンスが異なっており、兼業は本業を持っている人がもう一つ本業に近いと言えるようなレベルでもう一つの仕事を行うということです。
二つの仕事がほぼ同じように本業のような状況になっている場合を指すのが基本。
典型的なのが兼業主婦や兼業農家であり、主婦として家事を切り盛りしながら同じくらいの時間を使ってパートや常勤で働くというのが兼業主婦、農業を営みながらも会社に勤務するのが兼業農家となります。
副業として農家を営むという場合には平日は常勤で仕事をしていて、余った時間を使ってできる範囲で農作物を作って売っているという意味合いを持つのです。
このように、副業は基本的には本業を行いながら、余暇を使って別の仕事をすることにより収入を得ることを意味しています。
副業の基礎的な知識については、こちらのページが参考になります↓
副業の基礎知識|プロの副業
複業とは
対して「複業」という言葉での検索については、8年前はほぼ検索されていなかった状態から働き方改革という言葉が出始めた2017年頃から徐々にあがりはじめ、2018年から急激に注目されています。このことからも、近年複業がどれだけフォーカスされているかがわかります。
複業とは、二つ以上の職業を同時にいくつか持っているとき、そのどちらかを指して複業というのではなく、そういう風に複数の職業を持っている状態のことを言うのです。
つまりそれは、仕事そのものではなくライフスタイル、いわゆる生き方といってもいいでしょう。
関連記事:https://parallelwork.jp/parallelwork/parallelwork_start/
副業と複業の「目的」の違い
副業とはある意味収入のためだけにより多く働くということにほかなりません。
副業をしているせいで、本業に身が入らずまた残業時間が減って残業手当をもらい損ね、結果収入が減ってしまっては副業をやる意味がありません。そこに楽しさや喜びがあったとしても、それは副業をやっているうえで何の足しにもならないのです。
また、当然副業の場合本業というものをしっかりと確保しなければいけません。本業をだめにしてまで副業をやることはできませんし、本業をやめて副業一本に絞るなどもってのほかです、また本業がだめになれば、それで終わりです。
あくまで本業ありきの副たる収入源それが副業なのですから。
複業とは自分のためにより自由に働くということ
対して複業とは、収入のためだけではなく自分自身、それは経験であったり喜びであったり自己実現であったり、そういった自分自身のために働くということです。とはいえ、そこに収入をのみ目的にする人がいてもいいのです。
複業家であることで、収入がぐんと伸びるという計算の元複業家として働くのも当然一つの形としてありなのですから、間違ってはいません。
つまり、それは、自分のためという幅の広い自由な目的のために自由に働くということです。これまでの旧態依然とした「職業」という概念から脱して、よりよく自分の人生を生きるために様々な仕事を選択して同時にこなしていく。
そうして自分の人生を自分自身で設計し、プランを立てて生きていく生き方。そんな生き方こそが複業といわれる物なのです。
副業と複業の「収入面」の違い
一概に言い切れるものではありませんが、一般的には、
・副業は収入メリットの付加
・複業は収入デメリットの回避
に分かれるといわれます。
たとえば、副業とは、本業でもらえるお給料にプラスアルファの収入を加えるものです。
それはある意味収入というメリットを増やす目的であって、例えば本業がだめになってしまったときに副業が替わりをできるということではありません。しかも本業を失ったということは、その人の経歴にとって大きなマイナスとなります。
しかし複業は違います。複業家にとって、複数行っている仕事はどちらもある意味で本業です。
複業家が複数の仕事を持っているからと言って、必ずしも一つの仕事に専念するよりも収入が上がるとは言い切れません、時には一つに集中した方が上がることさえあります。
しかし、どちらかの職業がだめになったとき、残された方の仕事に就いたまま、新しい仕事を探すことができます。しかもそれは大きなデメリットにはなりませんし、むしろ経験があるということは、複業家にとってメリットにさえなるのです。
副業と複業の「働き方」の違い
副業とはある意味収入のためだけにより多く働くということにほかなりません。
副業をしているせいで、本業に身が入らずまた残業時間が減って残業手当をもらい損ね、結果収入が減ってしまっては副業をやる意味がありません。そこに楽しさや喜びがあったとしても、それは副業をやっているうえで何の足しにもならないのです。
また、当然副業の場合本業というものをしっかりと確保しなければいけません。本業をだめにしてまで副業をやることはできませんし、本業をやめて副業一本に絞るなどもってのほかです、また本業がだめになれば、それで終わりです。
あくまで本業ありきの副たる収入源それが副業なのですから。
副業と複業の「ルール」の違い
副業と複業の大きな違いとして、前者はこっそりとやるのが普通だということもあります。副業をしている人にとって、何よりも大切なことは、それが本業にとって悪影響にならないということです。
ですから当然、もちろん会社の服務規定もそうですが、副業をする人にとって副業があるということは大っぴらに公表できることではありません。実際にそれが本業を圧迫していなくても、それが本業の妨げになっていると“思われる”だけマイナスになるからです。
しかし複業は違います。
もちろん会社で禁じられている場合は違いますが、そうでない場合は、むしろ複数仕事があることはメリットです。
複業家にとって、様々な仕事をやっているもしくは経験しているということは、経歴上誇ることでありむしろ宣伝していくべきことです。しかも複業家にとって何より大切なものは、人と人とのつながりですから、隠していては話になりません。
さらに、複業家にとっては、本業というものが存在しない以上、会社組織のブランド名を使って仕事ができないわけですから、その経験とネットワークこそが看板。
しっかりと、自分が複数の職業を同時にやっている複業家であることを周知する必要があるのです。
副業・複業ともに確定申告に注意
副業・複業によって収入を得た場合には確定申告をしなければならなくなるのが原則です。
本業しかない場合には勤め人なら源泉徴収をしてもらえるので自分で納税する必要がありません。しかし、一ヶ所にしか源泉徴収をしてもらえないので、二ヶ所以上に勤めている人は両者を合わせた所得に対して自分で納税を行わなければならないのが原則です。
また、一ヶ所に勤めていて、アフィリエイトや個人事業などで収入を得た場合にも同様であり、所得を給与所得や事業所得、雑所得などに分類した上で正しく課税額を計算して納めなければなりません。年度末になるとこの作業が必要になることは念頭に置いておく必要があります。
ただし確定申告をするときにどれだけ所得があるかについては慎重に計算する必要があります。副業として行っている仕事のために使った費用があれば、それは所得から必要経費として差し引くことができるからです。
オフィスを構えてそこで仕事をしているというのなら、オフィスの賃貸料も水道光熱費なども全て経費にすることができます。
このような形で節税をすることもできるのは副業をする上で理解しておいた方が良い点です。
経費として申告するためには領収書などの支出を示す証拠書類を全て残しておく必要があるので注意しておかなければならないでしょう。
副業のメリット・デメリット
副業は本業の時間外でプラスの収入を得ることを目的とするため、必然的に下記のメリットがあると言えます。
【メリット】
1.空き時間をお金に換えられる
2.本業よりも時間効率の良いお金稼ぎ
特に2のメリットをいかに伸ばせるかが副業で大きく稼ぐための醍醐味ですが、具体的にそれぞれ解説していきます。
空き時間のマネー化
副業は複業と異なり、空き時間に行うものなので、副業のリソースは「時間」になります。
成長のためのインプットや勉強は間接的な時間の換金方法ですが、本業の場合は就業時間がある程度決まっているため、副業をしないと、働くことができない時間を直接お金に換えることはできません。
このプラスでお金を稼げる面が、副業の代表的なメリットといえます。
時間効率の良いお金稼ぎ
本業の場合はあなたの雇用主は一社ですが、副業で、クライアントがいる場合は一社に限りません。
よって、Aというクライアントで行ったアウトプットを、Bというクライアントにも転用することができます。
例えば、あなたがエンジニアだとしましょう。
クライアントAから、特定の商品や競合企業の広告商品に載っているテキストを洗い、エクセルに吐き出すクローラーの開発を請け負ったとします。
クライアントBからは、Amazonの特定のカテゴリーでの売れ筋商品を1日毎にエクセルに吐き出すツールの開発を請け負ったとします。
この2つのプログラムの中身は、ほぼ一緒です。
ですが、2つ目のツールは、1つ目のクローラーを作った時間よりもはるかに短時間(1/4ほどの時間)で作ることができるはずです。
もちろん、収入が1/4になることはありませんし、著作権上も問題ありません。
これが本業だと、決められた給料の中で開発し、2つ目のツールが1/4ほどの時間で開発できたとしても、その次の3つ目のツール等の開発のスタート時期が早まるだけで、収入に変化はありません。
副業のデメリット
副業は余暇をお金に換えることですが、時間やエネルギーを費やしすぎて本業に支障が生じてしまうと、本業による収入が下がったり職を失ってしまったりするリスクがあります。
そのため、自分にとって大きな負担がない範囲でできる仕事を選んで取り組まなければならないのが副業です。
副業を始める前に決めておく必要があるのが、どれだけの時間を副業に費やすかであり週末は全て使うのか、平日の夕方以降に取り組むのかといった形で予め自分に制限をしておくのが安全策になります。
そして、その範囲内でできる仕事の中から、自分が収入を上げられるものを選び出すのが失敗しないための基本です。
複業のメリット・デメリット
複業は現在の仕事を辞めるリスクを侵さずに自分のキャリアにとってプラスになる仕事を複数行うため、以下のメリットを得られます。
【メリット】
・シナジー効果で収入やキャリアアップができる
複業によるシナジー効果
複業にとって、収入が増えるというのはあくまで付加価値であり、その本当の目的は人間的成長のためです。複業において一番大切なものは、経験なのです。
たとえば、普段経理の仕事をしていた人が、それに加えて営業の仕事をすることで複業家になったとしましょう。すると、その人は、これまで経理で培っていた経験をもとに、より効率的で能率的な営業活動をこなすことができる可能性を秘めています。
と同時に、営業によって手に入れた経験をもとに、経理として営業しやすい予算の組み方を考え付くかもしれません。少なくとも営業をする人間としての視点で、経理の仕事をすることはかなりのプラスになることは間違いないことですよね。
このように、複業家にとって複数の仕事をするということは、その経験を増やし人間としての成長につながります。これは、収入のためだけに副業をやっていても身につかないものでしょう。
そこにあるのは、どちらも本業であることで生まれる、シナジー効果なのです。
複業のデメリット
複業にデメリットは特にありませんが、敢えてあげるとしたら転職と同程度のコミュニケーションコストが始める度に新しく発生することでしょう。
一緒に働く人たちとの信頼や関係値は一から作り直さないといけないため、いくつも複業を行うということは、転職のように、そのようなコミュニケーションコストも同じくかかるということ。
複業の雇用主は、副業のクライアントと異なり、「ここだけ外部に切り出す」という外注感覚で仕事を任せているわけではないので、関係者間とのコミュニケーションはとても重要になります。
関連記事:https://parallelwork.jp/merit-demerit/
副業と複業の「始め方」の違い
副業の場合は、
・不動産投資
・ソーシャルレンディング
・アフィリエイト
・クラウドソーシング
・週末起業
など、今すぐにでも始められるものが多いですが、複業は本業を1つ増やすことですから、明日からすぐに、というわけにはいきません。
注意すべきことは3点。
1. 現職の許可を得ること
2. スキル・キャリアアップに繋がる複業を選ぶこと
3. 複業に向いた企業を選ぶこと
1については必須であり、論を割く必要はないため割愛しますが、2と3はとても大切なことなので気をつけてください。
複業の仕事選び
複業は副業と異なり、すぐに収入を増やすことを目的にすると失敗しやすいです。
というのも、現職の収入がとても低い場合は別ですが、本業よりも複業先の収入がかなり高い場合は、緊急の案件であることがほとんど。
企業にとってスポットで需要が発生すると、相場よりも高い金額で雇用されますが、そのうち需要は薄れていきます。
そこで、新しい複業先を探しても、先ほどの「複業のデメリット」で紹介しように、新しくコミュニケーションコストが発生するわけです。
そのコストを考慮すると、最初からある程度長期間働くことができる複業先を選んだほうが、自らのスキルやキャリアアップにも繋がりやすいはずです。
複業に向いた企業を選ぶ
複業はどうしても、下記の負担がかかります。
・移動コスト
・作業の進捗共有などのコミュニケーションコスト
同じ8時間勤務でも、2社をまたげば4時間ずつではなく、そこに移動の時間が必要になったりするわけです。
よって、複業によって会社全体の採用コストの削減や生産性の向上が実現できている企業は必ずと言っていいほど「複業の効率化」に重きを置いた作業環境を用意しています。
具体的には、移動しなくてもリモートで作業すれば問題ないよう、チームビルディングしたり、管理能力が高いマネージャーを育成しているなど。
また、コミュニケーションコストの削減のため、各種の便利化・効率化ツールを使うことが当たり前であり、社内でもノウハウが蓄積されています。
このような複業に向いた企業でないと、ただ純粋に2社分の苦労をするだけで終わってしまいます。
複業向きの企業がわからない場合は
実際、どんな会社が複業に向いているのか、以下の方法で知ることができます。
・転職サイトなどの口コミ
・友人や知人で働いてた人に聞く
・体験する
・エージェントに聞く
友人や知人に働いてた人や、現在も働いている人がいれば、その人に聞くのが1番正確です。
転職サイトの口コミなどは、書き込んだ人の心情によって内容が左右されるため、信憑性が低いのが難点。
体験はできる企業もありますが、業務を体験するというよりも、オフィス見学や人事からのアトラクトを受けるという形でしか実現できませんので、中身まではわかりません。
とはいえ、複業先選びで後悔したくない、という人は、エージェントに相談してみるのも一つの手です。
エージェントはその企業に何人もの人材を紹介しており、紹介後もその企業のレピュテーションを細かくチェックしています。
よって、実際に複業に向いているかどうか、複数人の視点を持って公平に判断できるわけです。
もし、周りに友人・知人がいない場合は相談してみると良いでしょう。
まとめ
これだけを見ると、複業という生き方に魅力を感じるかもしれませんが、まだまだ日本という国において複業という生き方を実践するのは困難です。
しかし、だからと言って複業家として生きる人間が増えなければ、社会はそのまま停滞します。
いまだ旧態依然とした働き方が単一の価値観として認識される日本において、そんな働き方の価値観を変えるべくセルフプロデュースして生きていく生き方。ある意味複業家とはこの日本の働き方を変える革命家なのかもしれませんね。