複業(パラレルワーク)

複業とはどんな働き方?

複業とはどんな働き方?事例とともに複業の始め方をご紹介

検索エンジンで「フクギョウ」と調べると、「副業」もしくは「複業」がヒットします。

副業とは、本業として働く仕事がある状況で、サイドビジネスを行うことをいいます。

多くの場合は、企業に就業しながら本業の就業時間外の休日などを利用して始めるケースが多く、アフィリエイトやメルカリ転売などを行う人が多い傾向にあります。

「副業」と「複業」は明確な違いがあります。

「複業」とは、複数の事業を並行して行う働き方を指します。本業(企業に所属して行うなりわい)を持たず、フリーランスや独立起業して複数の会社から業務を請け負う働き方や、複数の企業に正社員として所属する形をとるのです。

パラレルワークとも呼ばれています。今回はこのパラレルワークとしての「複業」の働き方を紹介していきます。

複業の事例と複業に踏み出す第一歩

本業を続けながら小さく始められる「副業」と違い、本業とは別の事業を始める「複業」となるとハードルが高そうなイメージがあるでしょう。

では、現在複業をしている人はどのようにして複業を始めたのでしょうか?

実際に複業をしている人の例を見ていきましょう。

株式会社エンファクトリー

株式会社エンファクトリーは、「専業禁止」を掲げている会社です。政府による複業解禁以前から、複業を推進してきた会社であり、社員がさまざまな副業や複業をしています。

社内でカスタマーサポートとして働く山崎俊彦さんは、複業として鼻ぺちゃ犬(パグなど)専門の洋服を手作りし、インターネット販売をしています。坂上忍さんの愛犬もテレビ出演のたびに山崎さんが作ったハーネスをつけているそうで、オーダーメイドのお洋服は予約待ちになるほどに人気があります。

山崎さんはもともと愛犬に洋服を作っていたのですが、専業禁止のエンファクトリーへ入社したことをきっかけに複業を開始しました。実際に山崎さんが行う業務としては、販売用のインターネットサイト制作とカスタマーサポートです。洋服の制作を山崎さんの奥様が、商品のモデルを愛犬の次郎くんが行い、家族と一体になって複業をされています。
インターネット通販
また、サービスディレクターとして働く高荷智也さんは、備え・防災アドバイザー / BCP・危機管理アドバイザーとして活躍しています。社内での高荷さんは、さまざまなカテゴリの専門家と生活者をマッチングさせるサービスのマーケティングを行っていますが専門家のニーズが上手く捉えられず、登録者を増やすのに苦戦していました。

そこで複業として、高荷さんが以前から興味があり、またブログも運営していた「防災」の「専門家」として、活動を始めることにしました。講演や執筆、マスメディアやソーシャルメディアに出演するなどの専門家活動を行うことで、エンファクトリーとしてはお客である「専門家」が「同業者」として高荷さんを見てくれるようになり、スムーズな意見交換ができるようになったそうです。

実際に複業をしている方は、今の仕事以外に、自分の持っているスキルや自分にできることを活かせる場を求めて複業を始めています。複業は良いこともたくさんありますが、同時に大変なこともあります。

複業をしている方が口を揃えて話しているのは、「時間管理」の重要性です。

複業を始めれば、タスクが多岐に亘るようになります。そのため、どの業務にどれだけ時間を割けるか考えて、どこで時間をねん出するかが、複業を継続するうえで大切になります。例えば、企業に勤めていれば確定申告は会社側に任せることができますが、複業をしている人は自分でどうにかしなくてはいけません。
複業・時間
自分自身で行うのであれば確定申告を行うための時間をねん出する必要が出てきますし、税理士さんに頼む場合は税理士さんのスケジュールを押さえる必要が出てきます。

また、複業として他の企業から依頼される業務内容は、「その道のプロ」として高いレベルで完遂できることが当たり前に求められます。そのなかには、「スケジュール管理」も当然含まれています。スケジュールに問題が起きるようであれば、継続していくことが難しくなる可能性があります。責任感を持って、自分にできる範囲をしっかりと管理する能力が必要になります。

逆にいえば、自分自身の仕事に責任を持ち、自分自身を管理し、そしてそれを継続的に続けていける人だけが、複業務を続けていけるということになります。そしてこのようなスキルのある人は、どのような仕事に対しても目標のために自分を律し、まい進できる力を持つことができます。

複業から起業する人の事例

複業のパターンにもいろいろあります。

・フリーランスで複数の企業の案件を受ける人
・起業をして複数の企業に入り込んで業務を行う人

などがいます。起業している人のなかには、起業する前から複業をしていた人もいます。

平田麻莉さんは、一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会の代表として多くのメディアにも出演し、自身がフリーランスとして受託した広報や出版プロデュース、ビジネススクールの教材開発の業務なども行っています。
PRフリーランス
平田さんはもともとPR会社で働いており、50社以上のPR業務に携わっていました。その後、経営学の博士号を取得するため再び大学に入学、その在学中に、大学の広報の依頼を受けたということです。そしてそれをきっかけとして他企業からのPR業務も受託するようになり、PRプランナーとしてフリーランスで複業をしていました。

6年ほど活動した後に、フリーランスの方向けに、働き方を支援するフリーランス協会を立ち上げました。

平田さんは「キャリアステージやライフイベントに合わせてワークスタイルも流動的になるのは当たり前。例えば子育てをきっかけに会社員からフリーランスに転身後、子育てが落ち着けば会社員に戻るという働き方も当然ある」と考えています。

複業が一般的になる時代の訪れを予感し、フリーランスで働く人々の支援をするため、フリーランス協会での活動を行っています。

複業の実績をある程度積んでから起業をする人は、実際に複業で利益を生もうとする過程で、起業してからのイメージが少しずつ見えて来るようです。

会社員のうちから複業を始めることで、起業後の1日・1週間のスケジュールがイメージしやすくなります。例えば、家族との時間を長く持ちたい人は、どのように仕事を進めていけば良いか、具体的な計画を立てることができます。

また、複業を行うことにより収入が増えていくので、社会保険や税金の処理についても自分自身で学んでいく必要が出てきます。これらのことを勉強することによって、また知識の幅が広がります(ただし、時間的余裕がないのであれば、税理士などにお願いするのもひとつの方法です)。

複業を会社員時代から行うことで、起業した時の人脈作りや、自分の仕事における強み・弱みを知ることができ、自信を持って起業に踏み出すことができます。

起業を考えている人は、まずは自分のやりたいことを複業としてある程度利益が出るまで継続してみましょう。これは、「低リスクの起業」を可能にさせる行為です。

複業という条件で採用がある企業

本業への悪影響を懸念し、社員の複業に消極的な企業もいまだに多く存在しています。

しかし、2010年代後半から働き方改革が進み、2018年1月からは、企業に勤めている人も条件を満たせば副業・兼業を認められるようになりました。この時代の流れをくみ取って、複業に積極的な企業は増えています。

人材不足で採用力もないベンチャー企業では、プロジェクトに必要なスキルを持つ人を必要としています。しかし採用にかける時間や、正社員として雇うコストを節約したいと考えています。このため、複業をしている人たちに依頼し、プロジェクトが終われば解散するという方法を積極的にとろうとしています。

自分のスキルを活かせる場として複業を考えている人は、複業という条件での採用募集がない企業であっても、正社員・派遣問わずに求人を探し、自ら雇用条件を交渉してみましょう。うまくお互いの考え方やニーズがマッチングすれば、複業採用をしてもらえることも十分に考えられます。

特に専門性の高い職業などは人材不足になりやすいので、複業での需要も高いといえます。
things to consider

副業か、複業か?

「複業」と「副業」を分けて解説しましたし、今までは「複業」を中心に取り上げてきましたが、実のところ、この2つを明確に区別しないで働いている人もいます。「副業であり、複業」という働き方について取り上げていきましょう。

例えば、共働きで子育てをするなかで家事が好きだと気づいた人の例があります。この方は、家事代行サービスを始めたことがきっかけで、子育て支援事業も手掛けるようになりました。現在は、「副業」「複業」としてこれらの仕事を行っています。また、華道の資格を持つ人が得意の英語を活かして、会社の休日に外国人向けの華道教室を始めたという例があります。

服務規程で副業・複業が認められているのであれば、初めはブログでの発信や小さな仕事依頼から始めてみましょう。「自分ができること」「自分にとってやりがいがあること」を、必要とする人に届けられる場を探してみることをお勧めします。目的があって始める副業・複業ならば、休日や隙間時間に始めたとしても苦にならず、楽しみながらスキルアップをすることができるでしょう。
複業か副業か?

まとめ

得意なスキルを活かして仕事をしたい人、達成したい目標があるが一つの会社では達成できないと考えている人のなかには、自分で時間と業務を管理しながら、複業に従事している人もいます。

副収入を得ることを目的に始めた副業が発展して、複業をするようになったり、複業が起業につながったりするなどさまざまなケースがあります。複業を始めてみたいという人は勇気を持ってやりたいことにチャレンジしていきましょう。

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パラレルワーカー

肩書はCHROではありますが、基本はマーケティング全般や事業企画などが得意で過去には副業紹介サービス「プロの副業」も立上げました。

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